郷土料理の伝承に尽力 第51回東海社会文化賞 「食の匠」気仙地方連絡会に 四半世紀余にわたる活動たたえ
令和8年1月6日付 1面
福祉や文化、教育、産業などの分野で地道な活動を続ける個人、団体を顕彰する第51回東海社会文化賞(東海社会文化事業基金主催)の受賞者が決定した。今回は、四半世紀余りにわたって気仙地域の食文化や郷土料理の伝承活動に尽力する「食の匠」気仙地方連絡会(石川栄子会長、会員14人)が選ばれた。受賞者数は通算73個人55団体となり、2月に顕彰式を予定する。(三浦佳恵)
「食の匠」は、県内で長年継承されてきた地域の食文化や郷土料理などに関する知識・技術を受け継ぎ、その情報発信と次代への伝承ができる個人・団体を県が認定する制度。平成8年度に創設され、一時休止を経て令和7年度までに県内の312人・組が認定を受けた。
気仙ではこれまでに大船渡市11人、陸前高田市8人、住田町6人の計25人が食の匠に認められた。「ゆべし」「がんづき」「としるの貝焼きとイカの腑臓殻焼き」「秋刀魚の塩炊き」「椿油けんちん汁」「山菜の白和え」など、認定された郷土料理には海と山に囲まれた気仙ならではの食材が用いられ、地域の食文化や行事、生活習慣なども物語っている。
気仙地方連絡会は、認定者同士の情報交換と交流を通じて研さんを重ね、気仙のよりよい食文化を創造、伝承しようと、平成12年2月に発足。同11年度までに食の匠となった9人が初期メンバーとなった。
地域の郷土料理や行事食、先人から伝わる調理技術などを発信しようと、四半世紀余りにわたって各種活動を展開。現在は、会員間の研修の場として「郷土料理講習会」を開いているほか、大船渡地方農業振興協議会との共催で、新たな伝承者の育成と交流に取り組む「郷土料理伝承者交流会」や「郷土料理伝承者育成講習会」、県立大船渡東高校の生徒らを対象とした「高校生を対象とした郷土料理伝承事業」「気仙の味伝承会」を実施している。
このうち、「高校生を対象とした郷土料理伝承事業」では会員を講師として派遣し、同校食物文化科3年生が課題研究の一環で郷土料理の作り方やコツを学習。習得した技術を生かし、市民らへの伝承活動や普及に向けたアイデアレシピの開発に結びつけ、若い世代に気仙の食文化を伝える貴重な場となっている。
また、会員一人一人が地元の料理教室などで講師を務め、幅広い世代に気仙の郷土料理や調理の技術を発信。他地域の食の匠らとも交流を図り、スキルの向上にも励んでいる。
活動が四半世紀余りに及ぶ中で、今後を見据えた動きもある。会員個々の認定料理はもちろん、歴代会員らによるメニューの習得や伝承、さらなる郷土料理、新たな伝承者の掘り起こしにも力を入れている。
石川会長(72)=陸前高田市横田町=は「食の匠といわれると何の料理でもできると思われがちだが、自分が認定を受けた以外の料理を作るのは難しく、努力が必要。亡くなられたり、高齢になられた会員の料理をみんなで作り、自分たちのものにしていかなければならない」と語る。
長年にわたる地道な活動が評価され、石川会長は「先輩方がつないできたおかげで名誉ある賞をいただいたと思い、ありがたく、感謝している。これからも会員一同頑張っていきたい」と誓いを新たにする。






