工事関係利用が下支え 大規模林野火災影響 昨年2~4月の宿泊利用 観光目的の落ち込み補う形に
令和8年1月8日付 1面
大船渡市や大船渡地域戦略など各種団体で構成する大船渡観光推進協議会(会長・渕上清市長)は、大規模林野火災の影響が大きかった昨年2~4月における観光入込客数・宿泊者数と大規模林野火災の影響分析をまとめた。観光入り込み客数全体では大きな減少には至っていないが、地点によっては大幅減が目立つ。宿泊者数は工事関係者の割合が高く、前年を上回る実績となった。観光目的利用が落ち込んだ状況も明らかになり、回復に向け引き続き促進策を展開する重要性も浮かび上がる。(佐藤 壮)
同協議会は、大船渡地域戦略による候補DMO(観光地域づくり法人)の登録に伴い、官民、産業、地域間の連携や合意形成を図る意思決定機関として令和5年10月に設立。一昨年に登録DMOとなった。
地域戦略に加え、市や大船渡商議所、市観光物産協会、県旅館ホテル生活衛生同業組合大船渡支部、県飲食業生活衛生同業組合大船渡支部、大船渡観光バス事業協同組合、㈱キャッセン大船渡の各代表者らで構成。昨年12月下旬に開催した会合で、観光入り込み客数・宿泊者数と林野火災の影響などに関するデータを確認した。
2~4月における観光入込客数と宿泊者数、工事関係者の宿泊割合は別掲の通り。大規模林野火災は昨年2月26日に発生。1週間前の同19日も林野火災が発生し、1日前の25日には陸前高田市で出火した林野火災が大船渡市内にも延焼した。大規模林野火災は3月9日に鎮圧、4月7日に鎮火が、それぞれ宣言された。
この間、観光入り込み客数が前年同月を大幅に下回る月はなく、全体では影響は小さいように見える。一方で、林野火災の延焼範囲や通行規制エリアに近い施設では、2~4割減に。延焼区域から距離のある施設では、前年と同水準か、やや増加で推移した。
データをまとめる大船渡地域戦略では、昨年5月以降の状況も含めて「既存施設の多く、特に碁石から綾里エリアの観光拠点が打撃を受ける一方で、市全体の来訪者数は見かけ上では維持されている」と分析する。
2~4月の宿泊者数も、前年同月と比べて大きな落ち込みは見られず、2、3月は増加し、4月はやや減少。累計では3万2571人で、前年よりも1890人多かった。
この間、工事宿泊者の割合は43・9%を占めた。令和5、6年の実績を上回り、市街地や幹線道路沿いの宿泊施設では、工事関係者の利用で市全体の宿泊者数を下支えした半面、観光目的の宿泊は落ち込み、大規模林野火災の影響が大きく出た施設もあることが読み取れる。
7年1~9月の宿泊割合をみると30%台となっており、5月以降における工事関係利用の落ち着きもうかがえる。観光需要の継続的な回復・開拓の必要性が浮かび上がる。
また、大船渡地域戦略による地域循環ポイントアプリ「大船渡さんぽ」は4月下旬~5月中旬にかけ、大規模林野火災を受けて寄せられた寄付金を生かして市内経済の活性化を後押ししようと、全会員に1000ポイント(1000円分)を贈呈するキャンペーンを展開した。
発生から鎮火までと、ポイント贈呈期間を前年と比較すると、市内会員の決済回数が1・7倍、市外会員の決済回数は5倍に増加した。物販と飲食店の双方に押し上げがあり、被災後の需要喚起ツールとしての効果が生まれた結果となった。
地域戦略の志田繕隆理事長は「『景気が良い、悪い』といった感覚的なものではなく、きちんとした数字に基づいた対策を行っていくのがDMOの役割。市全体の観光振興はもちろんだが、林野火災の影響でみちのく潮風トレイルルートの来訪者は期待する伸びにはなっておらず、何とかしなければいけないという問題意識を持っている」と話す。
観光需要創出に向け、市は今月末まで、平日を中心に市内の宿泊施設を利用する観光客に対し、1泊当たり上限3000円の助成と、飲食店で使用可能な1000円分のクーポン券を配布する「大船渡復興割事業」を展開。宿泊施設を利用する観光客らは、本来の宿泊料金から宿泊料金に応じて500~3000円を割り引いた金額で宿泊できる。市内で利用可能なクーポン券も1泊当たり1000円分を配布している。
このほか、3月14(土)、15(日)の両日に開催される全国椿サミット大船渡大会に合わせた復興イベント開催を目指す。商工会議所、大船渡地域戦略などと内容の検討を進め、林野火災から1年が経過した現状と復興に向けた取り組みをはじめ、さまざまな情報を市内外に発信する方針だ。





