2070年 人口6000人を目標 市が将来ビジョン素案まとめる 減少歯止めかからない現状踏まえ設定 第3期総合戦略施策案も記載

 陸前高田市は、将来人口を展望する市人口ビジョンと、令和8~12年度の5年間を期間とする第3期市総合戦略の素案をまとめた。2070(令和52)年時点の総人口は、現状のすう勢のまま推移した場合、約5300人まで減少すると見込まれている。市は関係人口の創出、子育て支援策などを盛り込む第3期総合戦略を推進することで、同年時点で人口6000人を目指す。これまでは人口減を押しとどめるビジョンを描いていたが、減少に歯止めがかからない現状を踏まえ、そうした難題に対応した持続可能なまち構築にシフトする方針。年度内の策定を目指す。(高橋 信)

 

第3期総合戦略では産後ケア事業など子育て総合支援の充実も図っていく

 素案は2部構成。第1部は人口ビジョン、第2部は総合戦略について記載している。
 国勢調査によると、同市の2020(令和2)年の人口は1万8262人。国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の人口推計では、2050(令和32)年に9616人と1万人を割り、2020年対比で47・3%減。その後も右肩下がりを続け、2070年には5380人と急激に減少する見通しとなっている。
 素案では、総合戦略を推進した場合の将来推計を掲載。2050年は9886人で、社人研の推計結果と比較して270人(2・8%)増、2070年は6021人で、同641人(11・9%)増と展望している。
 2020年(1万8262人)の人口割合を階層別にみると、年少人口(14歳以下)は9・0%、生産年齢人口(15~64歳)は50・6%、老年人口(65歳以上)は40・4%。
 これに対し、2070年は社人研の推計の場合、年少5・7%、生産年齢35・8%、老年58・5%。総合戦略を推進した場合は、年少6・4%、生産年齢39・8%、老年53・8%で、社人研の推計値よりも階層別割合のバランスが改善される。
 総合戦略の基本目標は、関係人口創出や人材育成、若者や女性に選ばれる地域づくり、地域共生社会の実現などの4点を掲げる。基本目標ごとに具体的な施策を記している。
 重要業績評価指標(KPI)は、13項目を設定。いずれも現状値(令和7年10月末時点)と目標値(12年度末)を掲載している。
 素案によると、観光入込客数は現状値80万人に対して目標値150万人。市内起業者創出件数は現状値から31件増の85件を目指す。産後ケア事業参加率は、53%から25㌽増の78%まで伸ばす。
 市は将来の人口を中長期にわたって展望するため、平成28年3月、「人口ビジョン及びまち・ひと・しごと総合戦略」(平成27~31年度)を策定。令和2年3月に第2期戦略(令和2~6年度)を定め、将来人口の時点修正を行ったうえで、基本施策を推進してきた。
 第2期までは、「人口減少を押しとどめる」との国の考え方に準拠して将来人口を展望。東日本大震災をきっかけに市外に転出した被災者の帰郷を重視した施策などを展開することで、2060(令和42)年時点の人口について、社人研推計の約8300人を3400人上回る約1万1700人を目標としていた。
 しかし、総合戦略に基づく取り組みを推進しても人口減、少子高齢化が進行。国も「人口減少に歯止めをかけるための取り組みに注力」から「人口減少を正面から受け止めた適応策、官民連携の推進」に基本姿勢・視点を転換したことを踏まえ、第3期の目標値として6000人(2070年時点)と掲げた。
 市は昨年12月下旬に総合戦略の第1回策定会議を開き、委員らが素案に関して意見交換した。第2回会議は2月上旬を予定し、1回目の協議を踏まえた修正案が示される。
 その後、素案に対するパブリックコメント(意見公募)を経て、3月下旬の第3回会議で成案として固めることとしている。