28日の有識者会議で再検討へ 美術品展示保全施設の整備構想 候補の「杉の家はこね」改修費増で
令和8年1月10日付 7面
陸前高田市は、小友町の「杉の家はこね」を候補としていた美術品展示保全施設整備について、開設場所を見直す方針を固めた。多額の改修費を要することが判明したためで、28日(水)に有識者会議を開き、再検討に入る。振り出しに戻って協議することに伴い、全体の開設スケジュールもずれ込むことが濃厚だ。(高橋 信)
市は令和6年度、同市にゆかりのある画家らの貴重な作品を適切に管理しようと、施設開設の検討に乗り出した。
委員は、世界最古の歴史と伝統を誇るフランスの国際公募展「ル・サロン」で入選を果たすなどの実績を持つ熊谷睦男氏(高田町)をはじめとする芸術家や、森の美術館(千葉県流山市)館長ら市内外の有識者8人で構成。6年11月に第1回会合が開かれた。
市は可能な限り予算を抑えるため、既存施設を活用して開設することとし、事務局の市教委は▽旧矢作中校舎▽旧気仙小校舎▽旧高田東中校舎(旧陸前高田グローバルキャンパス)▽杉の家はこね──の4施設を候補に提示。
委員らは各施設の視察を経て、昨年3月の第2回会合で、杉の家はこねに決めた。選定理由に▽海を見渡せるロケーション▽木造の外観が美術館にふさわしい▽天井が高く、展示物が映える──などを挙げ、検討委内でも期待が高まっていた。
しかし、建築関係者から施設の老朽化が指摘され、最低限の改修による見積もりであっても、経費が当初の想定を大幅に上回る億単位に膨らむことが判明。いったん白紙に戻す方向となった。
28日の会合は、通算3回目。事務局が事情を説明したうえ、改めて候補施設や整備内容の検討を行うとみられる。
同市では昭和50年代に市内出身者や市ゆかりの作者の美術品を収集などする「カルチャービレッジ構想」が打ち出され、一時、美術館整備の計画も浮上したが頓挫した経緯がある。全国の博物館関係者らの尽力で東日本大震災の被災からよみがえった貴重な作品も保管されている。
市は本年度内の策定を目指している市人口ビジョン及び第3期市総合戦略(令和8~12年度)の素案にも美術品展示保全施設整備を盛り込む。当初の計画では、今年10月の一般公開を予定していたが、候補施設を選定し直すため、スケジュールは延びることが想定される。
市教委教育総務課の担当者は「施設の構造、ロケーション、アクセスなど総合的に勘案し、候補施設を決めたが、改修にかかる費用が高額になることが分かった。委員の方々に改めて検討をお願いする予定」と話す。






