怠け戒め 地域に繁栄を 小正月の奇習「吉浜のスネカ」が来訪 今年も地区外の親子招く
令和8年1月16日付 1面
大船渡市三陸町吉浜地区に伝わる小正月の奇習「吉浜のスネカ」は15日夜、同地区で行われた。吉浜スネカ保存会(岡﨑久弥会長)では今年も、地区外の親子を出発式に招く取り組みを実施。恐ろしい容貌のスネカが、地区外の親子や地域住民らと伝統の「問答」を交わし、人々の怠けを厳しく戒めるとともに、繁栄や子どもの成長を呼び込んだ。(齊藤 拓)
スネカは春に向け、豊漁と五穀豊穣への祈願を込めて怠け者を懲らしめたり、子どもをいさめる精霊とされる。平成30年には「来訪神:仮面・仮装の神々」として、スネカを含む全国8県10件の来訪神行事が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された。
気仙地域外でも知名度が高まる一方、吉浜地区のみを巡って住民をいさめるしきたりであり、地区外の住民や子どもが触れられる機会は少ない。
このため、吉浜スネカ保存会では、地区外の人々にも伝統に触れてもらう目的で、出発式を見学する親子を受け付ける取り組みを前回から始めた。今回も昨年から募集を開始し、9組の親子が参加した。
日暮れを迎えた三陸鉄道吉浜駅で出発式が開かれると、アワビの殻を腰に下げ、わらみのや俵を身に着けたスネカが親子らの目の前に登場。奇怪な形相の面で「かばねやみはいねぇが」と迫るスネカを見た子どもたちは、たちまち声を上げて泣き出して親にすがりついた。
各家庭で行われるスネカとの「問答」も実際に体験し、子どもの健やかな成長を願う伝統に触れた親子ら。同市猪川町から参加した濱西柊摩ちゃん(いかわこども園年長)は、「すごく怖かったけど、お母さんの言うことを聞くと約束できた」と、母の智美さん(40)は「昨年も参加して、今年も子どもには内緒で来た。健康に仲良く育ってくれたら」と、それぞれ話した。
このほか、同日は市教委が中学生以上を対象とした「文化財めぐり」を開催。参加者は学芸員から来訪神行事に関する解説を受けたほか、装束や出発式を見学。伝統行事への知識と理解を深めていた。
式後、スネカは吉浜地区の約300世帯を訪問。今年は保存会のメンバーや地元の生徒合わせて12人がスネカとして参加した。
スネカになり地域を回った気仙光陵支援学校高等部3年生の菊地毅さんは「参加するのはこれで4回目。スネカをやる時は、迫力のある声でやり取りをするように心がけている。住民のみんなにはこの一年、けんかなどをせず元気に過ごしてほしい」と願いも込めていた。






