カーボンクレジット推進明記 8年度からの次期行政改革大綱・実施計画案 閉校小中学校の適正管理も新規に

 大船渡市は令和8~12年度の次期市行政改革大綱・実施計画案をまとめ、15日に市役所で開かれた市行政改革懇談会(会長・刈谷忠市社協会長、委員16人)で示した。限られた人材や財源を活用する指針として、取り組み項目には新規に13件を盛り込んだ。山林の温室効果ガス吸収機能を生かしたカーボンクレジット推進や、閉校した小中学校施設の適正管理などを明記。市議会での説明などを経て、年度内策定を目指す。(佐藤 壮)

 

 市は平成8年3月、行政改革大綱を策定。事務事業の見直しや行政機構の再編、定員管理の適正化などを進め、成果を挙げた。現在は本年度までの5カ年の大綱と実施計画に基づき、各種施策を推進している。
 来年度を初年度とする大綱案の基本方針には▽市民等との連携・協働の推進▽効果的・効率的な行政運営とDXの推進▽持続可能な財政運営の推進──を掲げる。
 連携・協働の推進では、地区と行政が対等の立場で協力してまちづくりを進めるほか、市民活動団体やNPO法人などとの取り組みを推進。行政運営ではデジタル技術を活用し、サービス向上を図る。財政運営の推進では、積極的な自主財源確保や公有財産などの適正管理を見据える。
 案に盛り込まれた取組件数は、現行の30項目から33項目となった。終了10項目に対し、新規は13項目=G・別掲参照=となっている。
 このうち、カーボンクレジット推進は、大規模林野火災に伴う森林災害復旧事業の実施に向け、新たな財源確保策としての活用を目指す。具体的には、二酸化炭素をはじめ温室効果ガスの吸収量をクレジットとして国が認証し、企業等が購入することで収益を得る「J─クレジット」などがあり、陸前高田市では森林クレジットの販売を進めている。
 市内には、保有面積が県内上位の市有林を中心に、多くの森林資源がある。計画的に再造林や間伐などの施業を実施し、グリーンカーボン機能を通じた地球温暖化防止に寄与している。
 昨年の大規模林野火災で公益的機能が広範に低下し、復旧に向けた財源確保が課題に。吸収量の可視化や売買取引を活用する体制も整っておらず、地域資源として生かし切れていない。
 案によると、8年度は市有林の現況調査や森林資源データの管理・二酸化炭素吸収量の算定に加え、Jークレジットの販売金額調整や体制検討を行う。9年度以降は二酸化炭素吸収量のモニタリングやJークレジットの販売に向けた具体的な取り組みを進める。
 閉校施設の適正管理に関しては、8年度中に施設の利活用について地域などと協議に入る。9年度以降、利活用策がない閉校施設は除却を進めることにことにしている。
 市内では平成29年以降、学校統合に伴い、蛸ノ浦小や日頃市中、越喜来中、吉浜中、綾里中、末崎中が閉校施設となった。利活用が図られないまま数年間が経過し、結論を出す必要がある。学校本来の機能が失われている状況下でも財産区分が行政財産(教育財産)のままとなっており、適正管理も求められている。
 また、継続項目のうち、市立学校の統合再編では、8年度中に第2期小・中学校適正規模・適正配置基本計画(仮称、期間9~18年度)を策定する。9年度以降、主に小学校の学校統合について協議を進め、まとまったところから統合を目指す。
 懇談会では、委員から案自体を否定する発言はなかったが、多様な観点で意見が出た。地区運営組織への移行が進む中でのまちづくりや、物価高騰が続く中での公共施設使用料のあり方、未来かなえネットの利活用、民間事業所も取り組んでいるペットボトル回収などが話題となった。
 学校の統合再編に関しては「学校はこれまで、各地区の拠点としての機能もあった。風土的なものの継承といった機能は、統合後は地区ごとにどう継承されるのか」といった指摘も寄せられた。市は来月、市議会全員協議会での説明に加え、住民からの意見募集などを予定している。