定数・報酬の調査・検討へ 町議会が特別委員会設置 過去3回の無競争など背景に
令和8年1月21日付 1面
論戦や投票機会が失われ続ければ、議会制民主主義の土台が揺らぐ──。過去3回の選挙が無競争となった住田町議会(定数12)が「議員定数・報酬等検討特別委員会」(委員長・水野正勝議員、議長を除く全11議員で構成)を設置し、調査・検討に本格的に乗り出した。「なり手不足」の要因の一つとして報酬の低さが挙げられる中、定数、報酬を含めた議会のあり方について協議を進め、住民との対話を深めながら議会活性化を目指す。特別委では、9月定例会での調査結果報告を見込む。(清水辰彦)
全国的にみて、町村部で議員のなり手不足が問題となっている背景には、人口減少や少子高齢化はもちろん、報酬が低いことも要因の一つと指摘されている。
令和7年2月に全国町村議会議長会が公表した全国の町村議会議員の平均報酬は月額21万9761円だが、自身の生活や議員活動に必要な費用をまかなうことは容易ではなく、農業など1次産業との「兼業議員」が多く見られる。
現在の住田町議会議員の報酬は全国平均を下回る月額19万6000円。町議会の報酬は平成11年に20万3000円、15年に19万9000円、19年に現在の額となり、約20年間変わっていない。
所得税や町・県民税などを差し引いた手取り額は15万円前後だ。「議員一本では、とても生活できない」──。町民、特にも家庭を持つ働き盛り世代からはこうした声がたびたび聞こえてくる。町議会では、27年から31年にかけて報酬見直しに向けて活動してきたが、引き上げには至らなかった。
一方の定数は、20だった平成7年以降、改選期ごとに2ずつ減らし、23年に現在の12となった。以降は現状を維持しているが、その間も町内の人口は年間100人以上のペースで減り続けている。令和5年の改選時にも「常任委員会の運営や、町民の多様な要望に応えていくためには、当面は現行定数が必要」との方針から削減には踏み切らなかった。結果として同年の町議選は競争選にはならず、告示直前まで、少なくとも平成の大合併以降では県内初となる「定数割れ」の危機にも陥った。
こうした背景から、今月13日に設置した特別委だが、議論は定数削減や報酬増額といった〝結論ありき〟ではなく、社会情勢、住民の意見も踏まえながらゼロベースで検討していく方針だ。
報酬の算出にあたっては、議員個々の活動の「見える化」にも取り組む。現職それぞれが自身の議員活動時間を数値化するなどし、全国町村議会議長会のガイドブックに掲載されている算定式も参考にしながら、適正な報酬を調査・検討していく。
今後は適宜、集まりを設けて協議を進め、今年5月に委員会としての方針を固めたうえで住民との意見交換会を開催したい考え。
その後、住民からの意見を踏まえ委員会内での最終協議を行い、全議員に素案を提示する。9月の町議会定例会で報告書を読み上げ、議長に提出。議長はこれを受理した後、報酬審議会の開催を当局へと要請する見込み。
10月下旬から11月中旬にかけて審議結果を受け取り、定数のあり方と合わせて、例年開催している住民と議員の懇談会で示す流れとなる。
報酬改定を要する場合は12月定例会に条例改正案を提出。可決されれば、報酬の条例改定は令和9年4月1日から施行。定数は同年9月の改選時に適用する。
水野委員長は「町の財政状況も踏まえた丁寧な検討が求められる。住民理解が最も大切となるので、常に町民の視点を意識し、公平で開かれた議論を行っていきたい」と話している。





