水産復旧補助総額3億6780万円に 大規模林野火災 市の被災漁協支援 漁期に合わせた用具確保・再生後押し

▲ 大規模林野火災で被災した幅広い分野の水産業を支援=綾里漁港

 大船渡市大規模林野火災の水産業復旧に向け、市が大船渡市、綾里両漁協に補助金を交付した3事業の総額が、21日までの実績で3億6780万円となった。定置網漁の保管倉庫再建に加え、ウニやアワビ漁で用いる漁具、ワカメ養殖の器具などが対象で、市では独自制度を設けるなどして対応。早期のなりわいの再生を掲げる中、災害見舞金などを生かして各漁協が漁期に合わせた用具確保を進める動きを支えた。(佐藤 壮)

 

 市の被害まとめによると、大規模林野火災では綾里漁協の定置漁業用倉庫や定置網が被災。さらに、倉庫や養殖業の加工機械などの焼失は大船渡市、綾里の両漁協合わせて63組合員に上る。
 火災の影響で例年より少し遅れてスタートした3月からのワカメ漁は、綾里漁協管内ではボイルや塩蔵などの加工設備を焼失し、生出荷を余儀なくされた組合員もいた。5月からのウニ漁も同様の状況で、漁具焼失の影響を考慮して解禁時期を6月に遅らせる対応を取り、漁協が被災組合員向けにさおやスラスター(推進機)といった漁具を確保するなど、なりわい再生の支援策が展開された。
 こうした中、市では昨年5、6月の市議会で可決された一般会計補正予算で財源を確保。水産業振興費のうち、機器整備復旧緊急支援事業は、ワカメのボイルや塩蔵用の機械、ホヤ、ホタテ等の養殖活動に使用する機械などの再整備に対する経費を支援し、県事業に上乗せする形で補助率は4分の3とした。
 先月26日時点の補助金実績は綾里漁協の10組合員分で、4301万円。同月中旬時点で6割以上が納品され、その後も進み、今後本格化する今シーズンの塩蔵作業には間に合う見込み。
 被災したウニ、アワビ漁の漁網やイカ釣用の機器設備、刺し網、かご類などの復旧整備に向けては、市が独自に補助事業を設けた。補助率は3分の2で、総額は今月16日段階で5029万円。内訳はウニ漁やアワビ漁などの採介藻漁業は両漁協に合わせて2356万円、イサダやイカ釣り、刺し網などの漁船漁業では、綾里漁協に対して2673万円を補助した。
 採介藻漁業は大船渡市漁協が11組合員分、綾里漁協が24組合員分を支援。内訳は、スラスターが大船渡市11セット、綾里19セットの計30セット。殻むきなどの作業用テントは5張で、綾里漁協の組合員に支援した。夏のウニ漁などに間に合うように漁協が確保したものに対して財源措置を行い、すでに組合員に行き渡っている。
 仮設プレハブ倉庫17棟もすべて綾里漁協の申請。公費解体の進捗状況に合わせながら進め、近くすべて設置完了となる。
 漁船漁業は、綾里漁協の19組合員分に支援。イサダ漁やイカ釣りの器具、タコかご漁、刺し網漁の各用具確保に財源を措置した。
 このほか、国や県と連携し、綾里漁協の定置網保管倉庫の復旧整備に関する補助金も、2億7467万円交付。現地再建に加え、被災施設の解体、火災時に施設内にあったフォークリフトやロープカッターなどの再整備にも充てられる。
 現在、被災施設の解体が終わったほか、隣接するのり面の被災木の伐採なども進められた。のり面のコンクリート施工などを行ったうえで、現地再建が本格化する見通し。
 仮設プレハブ倉庫の設置で一部補助金実績が変動する可能性があるというが、水産分野の補助金申請対応に関してはめどがついた。市水産課の鈴木宏延課長は「早期のなりわい再生に主眼を置いて事業を進めてきた。おおむね支援の後押しはできたのではないか」と話す。
 各種補助制度の財源は、国や県の支援に加え、発災以降に寄せられた災害見舞金などを積み立てた基金を活用。補助金の対象外となり、各漁協が負担する4分の1、3分の1相当の復旧事業費に関しては、市の義援金配分でも支援がある。