インタビュー気仙2026①/林野火災の復旧・復興へ全力  気仙地方森林組合組合長・古内文人さん(65)

 今年のえとである「午」は、「前進」を象徴するとされる。東日本大震災から15年、大船渡市大規模林野火災から1年を迎える中、気仙は発展への道筋をどのように描き、進んでいくべきか。年頭にあたり、さまざまな活動に携わる人々の思いを聞く。

 ──大船渡市大規模林野火災から来月で1年を迎える。森林組合として、今直面している大きな課題は何か。
 古内 やはり、一番大変なのは家が焼失し、多くの財産が入った倉庫などを失った人ではないか。
 森林組合として大打撃だったのは、所有する林業機械4台が被災したことだったが、これに関しては、補助金の対象となった。間もなく機械が入る予定で、関係機関に感謝している。3台は新規に、1台は修繕がきくので修理をする。この支援はありがたい。
 ──自らも綾里在住で、被災した山林を所有している。森林所有者として大きな不安、課題をどうとらえているか。
 古内 私自身でいえば、特に不安は感じていない。どのような展開になるかは今のところ分からないが、森林災害復旧事業に参画することにしている。
 ──今年はいよいよ、森林再生事業の本格化が見込まれる。組合では昨年から先行的に実施している山林もある中、進捗や課題をどうとらえているか。
 古内 課題は、山林の状況がどうなっているかを把握しきれていないことではないか。研究者の判断と、事業に取り組むわれわれとしての見方は違う部分もあると思う。施工する区域ごとに状態は違うだろう。
 ほとんどが傾斜地で、いつ着手するかによっても木の状況が異なる問題もある。森林災害復旧事業に参画する人と、そうでない人との境界の確認なども今後は必要になってくる。
 事業に関しては、伐採した場所には全て苗を植えることになっている。森林整備を強化していかなければならないと考えており、新たに森林整備課を大船渡支所内に設け、被災地の森林再生を担っていく。
 森林組合は、住田町や大船渡市の山を管轄している。被災地だけの事業に取り組むわけにはいかない。それでも、「矛盾している」と言われるかもしれないが、山林再生に向けた行政や森林所有者の要請に関しては、全力で取り組みたいと考えている。
 ナラ枯れや松くい虫の防除、強風などで倒木の危険がある木の処理など、依頼されたものは受けていきたい。
 ──これまで人工林はスギが中心だった。将来の山の復興した姿を、どのように描いているか。
 古内 われわれとすれば、苗が足りない課題はあるが、カラマツを推奨したいと考える。建築面で需要があるほか、葉が落ちることで、山にも海にもいい。再造林に関しては、行政や所有者とも協議をしながら進めたい。スギも一定数は植えることになると思う。
 ──国や県、市をはじめ行政に求めたいことは。
 古内 その局面に当たらないと、まだ分からないが、例えば、作業道をつくっているときに岩盤に当たり、取り除く機械を入れなければならない状況も考えられる。そういった対応の協議、調整などを求めることも出てくるだろう。
 また、海のそばまで木が焼けている。流木のようになれば、漁業者に被害が及ぶ可能性がある。林地再生対策協議会などの場で、要望したい。
 ──昨年、前組合長の死去に伴い、現職を務めている。どのような思いで就任したか。
 古内 これほど大規模な林野火災という局面は、組合としてもなかった。全力で取り組むとともに、相談や協議がしやすい雰囲気もつくっていきたいと考えている。
 市役所職員時代には、林業や鳥獣被害も担当した。組織の統轄だけでなく、自分が知っている限りの事務手続きや文書作成、担い手育成に関しては、私自身も尽くしていきたい。
 ありがたいことに、他県の林業関係者からも「協力したい」という申し出を受けている。とにかく、大規模林野火災の復旧・復興に向け、全力で取り組みたい。(聞き手・佐藤 壮)