延焼や森林影響の知見共有 大規模林野火災 研究グループが現地報告会(別写真あり)
令和8年1月25日付 1面
文部科学省の科学研究費助成事業(特別研究促進費)支援を受けた「突発科研費大船渡市山林火災研究グループ」(研究代表・桑名一徳東京理科大学大学院創域理工学研究科教授)による報告会が24日、同市三陸町越喜来の三陸公民館で開かれた。延焼拡大のメカニズムや建物火災、森林、住民生活への影響など、幅広い角度からの研究成果が示された。
報告会は同グループと市が主催。昨年4月以降に本格化した調査の成果等から、林野火災の実態などを市民や関係機関等に向けて広く示す場として企画し、オンラインも含めて約250人が参加した。
冒頭、渕上清市長は「さまざまな情報を共有し、知見を深めることで地域防災向上へ有意義な場となってほしい」とあいさつ。祝辞では、文部科学省研究開発局地震火災防災研究課の大滋弥麻里亜防災科学技術調整官が、林野火災としては初の研究採択となった点などに言及。消防庁総務課消防技術戦略室の千葉周平室長も、今後の防災充実につながるよう活発な意見交換などに期待を込めた。
引き続き報告に移り▽林野火災時のリスク評価▽飛び火状況に関する調査▽延焼状況と建物被害状況▽避難行動▽斜面や流域での水、土砂移動に与える影響▽焼損木のモニタリング、利用可能性調査▽避難所生活から生活・なりわい再建──などの項目別に、調査方法やこれまでの研究成果、今後の考察方針が示された。
林野火災のリスク評価のうち、出火直後の延焼メカニズムに関する研究では、谷筋での延焼動態を数値シミュレーションで検討し、樹冠火の発生予測につなげることを目指す研究を紹介。消防活動の影響評価では、同時多発的な飛び火に対応した消火活動によって、焼失棟数を約6分の1に抑えた可能性があることなども示した。
延焼動態に関しては、火災が発生した2月26日は出火から4時間余りで東側の約960㍍先にまで広がったとする推測も示された。倉庫や漁具など比較的燃えやすいものへの引火によって被害が広がった考察の言及もあった。
発表後、桑名教授は「文科省の助成研究は3月で終了するが、それまでの成果に関しては、改めて広く公開するようにしたい。林野火災の研究は火災そのものや森林への影響、避難など多岐にわたる。多くの研究者が集まったので、年度内で終わるのはもったいない。来年度以降も、ネットワークを活用してさらに研究を進めるように検討したい」と話した。
大規模林野火災の延焼面積は3370㌶。延焼要因には林野内の可燃物が乾燥していた状況や、火災初期の強風により、樹冠火を伴う激しい燃焼と飛び火が発生し、さらにリアス海岸の複雑な地形と局地的な風の影響を受けたことなどを挙げている。市内面積の1割を超える地域に火の手が及んだ一方、発生当日から避難指示が出たため、住民にとっても地元地域が被災した要因が分からない面も多い。
避難行動や生活・なりわい再建では、火災後に行われた住民アンケート結果をもとにした分析もあり、参加者は終始熱心な表情で聴講。出席者からの質問に答える時間も設けられた。






