無火災願い「見っさいな」 世田米で奇習・水しぎ(動画あり)

▲ 奇妙な格好で練り歩き、地域をにぎやかした一行

 住田町世田米地区に伝わる火伏せの奇習「水しぎ」は24日、同地区内で行われた。愛宕地域の青年団「一の会」(山内哲会長)や町内外の有志ら計約30人が、奇抜な格好で缶を打ち鳴らしながらはやしたて、「見っさいな」のかけ声とともに家々や店舗を訪問し、無火災を祈願した。(清水辰彦)


 水しぎは世田米に約200年前から伝わる奇習。世田米が宿場町として栄えていた当時、偶然ボヤを見つけた通りすがりの物乞いが鍋釜をたたいて住民に知らせ、大火事を防いだのが由来で、「水注ぎ」「水祝儀」がなまったものという。戦後しばらく途絶えた時期があったが、昭和51年に一の会が復活させた。
 この日は、一の会メンバーを中心に、町民有志、県立住田高校生徒らが参加した。昨年11月、住田を舞台とした短編映画を撮影・制作した映画監督・堀内友貴さん(28)=東京都=も水しぎの撮影で来町。堀内さんとともに訪れた都内在住で俳優の木村知貴さん(47)と米良まさひろさん(30)も道化に加わった。
 愛宕公民館に集まった参加者は、それぞれがメークや着付けを施し、踊りの練習を行って本番に備えた。着崩した和服姿で、顔を白塗りや墨汁などで覆った〝珍妙〟な一団は、地域を練り歩きながら店舗や民家を訪問。各所で「見っさいな、見っさいな。御大黒というひとは、一に俵を踏んまえて、二でニッコリ笑って…」などと歌を響かせながら、缶を打ち鳴らしてにぎやかに歩いた。
 米良さんは「楽しいです。いろんな意味で〝熱い〟行事。まちに活気が生まれている感じがいいと思う」と話していた。
 午後には、住民交流拠点施設まち家世田米駅で「みずしぎっぺ 童(わらす)コンテスト」も開催。地元の子どもたちが凝ったいでたちで参加し、水しぎを体験した。
 山内会長(42)は「伝統ある行事なので、継続していきたい。イベントも開催して周知を図り、町内外から携わる人を増やして行けたら。火伏せの習わしなので、今年一年、火事が起きなければ」と、伝統継続と無火災を願っていた。