インタビュー気仙2026④/節目に運動環境充実誓う 陸前高田市スポーツ協会会長・及川満伸さん(62)

 ──陸前高田市スポーツ協会は昨年、創立70周年を迎え、市体育協会から名称を変えた。節目に思うことは。
 及川 昭和30年の協会設立時から数え、会長は私で13代目。昨年10月の記念式典が無事に終わり、歴代会長や関係者、運営に対し支援をいただく方々へ敬意と感謝を表すとともに、歴史の重みも改めて感じているところ。
 スポーツに対する国民の意識は、この70年間で変化してきた。かつては競技力の向上を目指す側面が強かったが、今は単なる身体活動や教育の枠を超えている。多様性が深まり、社会的な意義もどんどん高まってきている。
 また、平成23年の東日本大震災や、令和2年からのコロナ禍を経験し、私たちは集い、ともに体を動かすことの大切さを再認識した。これまでの歩み、軌跡を大事にしながら、時代に取り残されることなく71年目も新たな歩みを進めていきたい。
 ──現在職員は15人。市内スポーツ施設の管理運営業務を市から受託し、利活用を図っている。推進したい新たな取り組みは。
 及川 昨年は「スポーツの日」に合わせ、各スポーツ施設で周年記念となる「健康スポーツの祭典」を開いた。協会加盟団体の協力でさまざまな競技、アクティビティの体験の場を用意し、多くの人に参加していただけた。
 土台となったのは、震災後に全国で行われていた住民参加型イベントの「チャレンジデー」。令和5年のイベント終了を受け、チャレンジデーに代わる新企画として6年に実施した、参加者が多彩な種目を体験できる「夢スポチャレンジデー」が今回のイベントにつながった。
 今後も、住民の運動の習慣化やきっかけづくりに寄与するイベントを考え、実現させていきたい。
 また、今年は、以前から準備を進めていた総合型地域スポーツクラブを設立する。年齢や競技経験の有無にかかわらず、誰もが気軽にスポーツやレクリエーションを楽しめるクラブで、幅広い世代が、それぞれのレベルに合わせさまざまなスポーツを楽しめる機会を提供していく。将来的に、学校の部活動の地域移行の受け皿にもなっていくことを見込んでいる。ぜひ、多くの人に参加してもらいたい。
 ──SNSの公式アカウントと併せ、公式ホームページを新設し、加盟団体やスポーツ少年団各種教室の情報などを発信している。期待する効果は。
 及川 市民だけでなく、内陸方面から教室に参加される人や、県外の人が施設を利用するという場面も少なくない。情報発信を強化することで、スポーツ協会のこと、景観のよい陸前高田の施設のことを広く知っていただくきっかけにしたい。
 市民全員、そして日本全国、一人でも多くの人に体を動かしてもらい、健康寿命を延ばしてもらいたいというのが私の願い。協会としても、「いつまでも自分で歩けるように」と思っている住民の背中を後押しできるよう、積極的に情報を提供していきたい。
 ──陸前高田市も少子高齢化が進んでいる。地域活性化においてスポーツが果たす役割とは。
 及川 スポーツは、単なる身体活動や教育だけにとどまらない、地域の大切な文化だとも感じている。街づくりは体づくりから。年齢を重ねても元気に動ける人を増やし、街の発展につなげたい。
 ──今後の課題や展望は。
 及川 以前よりも市民の健康志向が高まっている一方、スポーツ教室に参加するには「ハードルが高い」と感じている方もいると思う。そういった運動のハードルを下げるために、費用面なども含め、気軽に教室に参加できるような方法を考えていきたい。
 米大リーグ・ドジャースの佐々木朗希投手をはじめ、国内外で活躍する陸前高田出身の選手たちのような、次世代の憧れとなる選手がこれからも生まれるよう、スポーツを楽しめる仕組みを作っていく。多様化する時代の変化も見据えながら、住民が将来の夢を描ける地域となるように、協会としてできることに取り組む。(聞き手・阿部仁志)