インタビュー気仙2026⑦/支援充実へ多彩な取り組みを 医療的ケア児の未来を創る会代表・秋葉悠貴乃さん(38)

 ──昨年、「医療的ケア児の未来を創る会」を発足し、代表を務めている。立ち上げの経緯は。
 秋葉 訪問看護に携わり、医療的ケア児とその家族に関わる中で、すれ違う人からのネガティブな声かけなど、当事者が感じている悩みに触れた。
 医療的ケア児について知っている人、知らない人の間で当事者に対する接し方に差があることが見えてきて、住民理解が必要だと強く感じるようになった。
 医療的ケア児のことをより多くの人に知ってもらうため、市民向けの講演会を企画したが、さらなる周知や、活動の広がりのために団体立ち上げを決めた。
 ──訪問看護師として、特に医療的ケア児への支援に必要性を感じたきっかけは。
 秋葉 大船渡市が令和7年度に、医療的ケア児を育てる家族の心身負担軽減を図るための「医療的ケア児在宅レスパイト事業」を始めた。事業を利用した家族から前向きな反応をいただいたが、その半面、まだまだ支援が行き届いていない難しさを改めて実感した。
 小児の分野は、家族対応や子どもの発達など、小児ならではの難しさがある。子どもたちは、病気と闘いながらも成長の過程にあり、考慮しなければならないことも多い。その難しさもあってか、分野の中では避けられている印象。このことは人手不足にも影響していると思う。
 ──気仙は津波の常襲地でもある。昨年2月には大船渡市大規模林野火災も発生した。災害時における課題や創る会として取り組んでいきたいことは。
 秋葉 医療的ケア児に必要な医療機器などがそろっている場所があり、当事者に周知されるようになってもらえたら。個別の避難先があるのが理想。避難先の運営側、ほかの避難者の受け入れ体制でも(避難所への)入りやすさは変わってくる。
 また、避難の苦労も尋常ではなく、準備段階でも時間を要し、移動も困難。住民理解が進み、医療的ケア児とその家族が遠慮することなく周囲に頼れる地域になることで、災害時も安心して避難できると思うし、移動の難しさも解消できそう。
 災害はいつ起こってもおかしくないからこそ、当会としても早めに取り組みたい。医療的ケア児とその家族に向けた避難訓練の実施も考えていきたい。
 ──人口減少や医療資源の乏しさが叫ばれて久しい。子どもたちの看護を取り巻く環境で課題と捉えていることは。
 秋葉 地方の課題は、医療的ケア児に広く対応できる医療機関の乏しさにあると思う。気仙では受診のために内陸まで足を運ばなくてはならないケースも多く、医療機器の持ち運びなど、受診するのがそもそも困難な状況にある。県内には200人ほどの医療的ケア児がいるが、その8割は岩手医大の近辺に住んでいる。住まいを置く場所を限定されるつらさもあり、地域としての対応が求められる。
 ──医療的ケア児への支援について期待できることは。
 秋葉 大船渡市では医療的ケア児在宅レスパイト事業が本年度から始まったが、支援の必要性を投げかけてから事業が実現して動き出すまでがとても迅速で驚いた。
 この事業では、訪問看護の時間も従来より延び、費用面でも支援ができる。市民の声を聞き、ともに問題意識を持って行動してくれる人が多かったことに感謝したい。大船渡だったからこそ、この早さで実現できたのだと感じている。
 ――創る会として、あるいは個人としての今後の展望、望む地域の未来像は。
 秋葉 医療的ケア児やこのほか事情を抱えている子どもたちを、特別じゃない地域の一員として接する、垣根のない地域をつくっていきたい。
 住民への周知を目的とした講演会をはじめ、医療的ケア児とその家族が楽しめる体験型の企画などさまざまなことに挑戦していく。人材育成も視野に入れている。
 充実した支援を当事者のもとに届けられるよう、活動を広げていきたい。(聞き手・栗村 勇翼)