美術品施設 旧校舎に開設へ 有識者会議で決定 旧高田東中を軸に検討の方向

 陸前高田市が整備を目指す美術品展示保全施設の開設場所について、当初選定した小友町の「杉の家はこね」から市内の旧校舎に切り替えることが決まった。有識者会議は、新たな候補として米崎町の旧高田東中校舎(旧陸前高田グローバルキャンパス)を軸に改修のコンセプトなどを検討する方向。市の財政状況を勘案しながら、市内芸術関係者らの長年の夢である構想実現を目指す。(高橋 信)

 

 市内芸術家や、森の美術館(千葉県流山市)館長ら有識者でつくる検討委(熊谷睦男委員長、委員7人)が28日に市役所で開かれ、全委員、佐々木拓市長、山田市雄教育長が出席。事務局の市教委がこれまでの経過を報告した。
 検討委は昨年3月、事務局が提示した▽旧矢作中校舎▽旧気仙小校舎▽旧高田東中校舎▽杉の家はこね──の市内4候補施設の中から、ロケーションや施設外観を理由に、杉の家はこねに展示保全施設を開設することを決めた。
 しかし、築38年の同施設は老朽化が進み、全面改修が必要とされ、費用が最大約3億3000万円に膨らむことが判明。財源確保が困難であるため、教委は検討委に場所の再検討を依頼していた。
 同日の会合では、市の財政事情を考慮し、杉の家はこね以外の候補施設に切り替えることを決定。敷地内に「3・11仮設住宅体験館」があり、より短期間・低コストで整備可能な旧高田東中校舎を主に検討していく方向性を固めた。
 委員からは「学校のイメージを払しょくするようなデザインにすれば、美術館の雰囲気になると思う。教室をぶち抜く形で、大きな空間をつくってほしい」「作品が収集され、蓄積されることも想定しながらスペースを考えていく必要がある」「ファン、リピーターを増やすには企画展示が非常に重要」などとの意見が聞かれた。
 次回会合の開催日は未定。改修のコンセプトや設備・機能、作品展示以外の活用法などを検討していく見込み。
 陸前高田市では昭和50年代に市内出身者や市ゆかりの作者の美術品を収集などする「カルチャービレッジ構想」が打ち出され、一時、美術館整備の計画が浮上した。著名な画家の作品や、東日本大震災後の文化財レスキューで修復された貴重な作品が、古民家や市収蔵庫などに保管されている中、劣化の恐れがある状態で保管されている作品もあることから、市は令和6年度から「市民や観光客に貴重な作品を見てもらうとともに、適切な保管場所を確保しよう」と展示保全施設の開設を検討してきた。
 山田教育長は「まだ手探りの状況だが、すべて一気に改修するというのは財政上厳しい。年次計画を立てて、段階的に整備していければいい」と見据える。
 佐々木市長は「素晴らしい作品が台無しにならないよう委員らからアドバイスをいただきながら検討していきたい。来年度中に完成させ、将来的には本格的な専用の展示施設整備も国の補助メニューなどを活用して可能性としてあると思っている」と語った。