漁業体験 進路選択の一助に 明治大3年の藤原さん 女性就業者との情報交換も 気仙両市で(別写真あり)

▲ 両替漁港内のマルテン水産加工場を見学する藤原さん(左から2人目)

 明治大学3年の藤原凜さん(20)は1~5日までの5日間、気仙両市などで漁業体験に臨んだ。漁業をはじめとした水産業に関わりたいとの思いで、本県の支援制度を利用。4日には、県外から移住した女性漁業者と交流し、1次産業の苦労とやりがい、移住して地域の一員として仕事をしていくうえでの心構えなどについて情報を交換した。(菅野弘大)


 宮城県の沿岸部出身の藤原さん。「漠然と漁業に興味を持った」と将来の進路を見据え、就職活動のヒントにもしようと、本県沿岸広域振興局が手がける「いわて三陸漁業体験」の制度を利用して体験に参加した。
 受け入れたのは、大船渡市三陸町越喜来の泊漁港を拠点にカキ、ホタテ養殖などに取り組む漁業・岡田薫省さん(56)・真由美さん(51)夫妻。いずれも東京都出身の移住者であり、体験の提供に加えて、縁もゆかりもない土地で漁業の世界に飛び込んだ実体験なども伝えた。
 2日と3日は、越喜来湾内の漁場の管理や見学、カキの株分け、選別、ホタテ稚貝のかご入れ、ロープワークなど、船上や陸上での作業を体験。市移住コーディネーターとの情報交換の時間も設けた。
 4日は、真由美さんたっての希望で、「はま女子交流day」として女性漁業者と交流するスケジュールを設定。はじめに、陸前高田市小友町の両替漁港を拠点にワカメ養殖などに取り組む漁業・三浦尚子さん(35)の作業場を訪問した。
 三浦さんは神奈川県出身。東日本大震災のボランティアをきっかけに移住した経緯を話し、「もともと漁業をやりたかったわけではないが、手伝いをしながらやってみたいと思うようになった」「師匠やほかの漁業者など、応援して支えてくれる人たちがいた。不安に思うこともあったけど、未知で新しい経験は楽しい」「私だけの力ではできなかったこと。周りへの感謝は忘れないようにしている」などと語った。
 薫省さんも「前職は転勤が多く、どこかに腰を据えたい気持ちがあった。移住する際は、自分のライフスタイルを貫くばかりでなく、その地域の歴史や人を尊重することが必要。地域のことを勉強して入っていくことが大切」とアドバイスした。
 その後は、三浦さんが働く同漁港内のマルテン水産加工場に移動。国内でもトップの高評価を受けるカキの選別作業などを見学し、漁業者や従業員らの熱意に触れた。
 藤原さんは「漁業は大変な仕事と思った一方で、漁業者がいるからおいしい海のものを食べることができると分かった。実際に現場に出て知ることも多く、今後の進路選択の参考にしたい」と充実感をにじませた。
 真由美さんは「女性が漁業をなりわいにするにあたり、漁師と結婚することで携わるというのが常だった。時代の変化もあり、そういった道以外からの就業希望者のために受け入れ側の意識改革をはじめとする整備が必要であると以前から感じており、『女性だから』という理由だけで諦めることなく、漁業にチャレンジできる、それを岩手でできる選択肢になれば」と思いを語り、「世代は違うが、移住して漁業をなりわいとする点で『私たちのような人もいるよ』と知ってもらえれば。就業しやすい環境になるよう、当事者として努力していきたい」と力を込めた。