トレイル基軸に振興探る 三陸沿岸都市会議 地域連携シンポ開催

▲ 「みちのく潮風トレイル」を軸とした地域振興のあり方を探ったシンポジウム

 気仙両市などで構成する三陸沿岸都市会議主催の「交流人口拡大に向けた三陸沿岸地域連携シンポジウム」は9日、陸前高田市高田町の奇跡の一本松ホールで開かれた。同会議を構成する青森県から宮城県までの三陸沿岸道路沿線7市の関係者らが集い、「みちのく潮風トレイル」を軸とした地域振興のあり方を探った。
 同会議は、青森県八戸市、久慈市、宮古市、釜石市、大船渡市、陸前高田市、宮城県気仙沼市の7市で構成。シンポジウムは、令和3年の三陸沿岸道路全線開通を契機として、翌4年に大船渡市で初めて開かれた。
 沿線地域が一層連携を強め、雄大な自然や歴史、風土食、復興のレガシーなど、多様な地域資源を活用・発信し、一体となって三陸沿岸地域の交流人口の拡大を図っていこうとの狙いで、今年で4回目の開催となった。各市や観光・商工関係団体などでつくる実行委員会が主管。国土交通省東北地方整備局や青森、岩手、宮城各県、住田町を含む沿線・近隣の市町村などが後援した。
 約150人が参加。開催地を代表して佐々木拓市長は、来市を歓迎しながら「三陸沿岸各地の観光振興と県境を越えた広域連携推進の一助となることを期待したい」とあいさつ。西村拓東北地方整備局長の祝辞が代読された。
 このあと、日本ロングトレイル協会アドバイザーのシェルパ斉藤(本名・斉藤政喜)さんが、「みちのく潮風トレイルを活用した観光振興」と題して基調講演を行った。
 斉藤さんは国内外で「歩く旅」を続け、アウトドア雑誌などで紀行エッセーを手掛け、著書も多い。国内外のトレイルは、みちのく潮風トレイルを含めて60本以上を歩いている。
 「バックパックに詰められる量の衣食住用品を背負って歩くのがスタイル」という斉藤さん。国内外のトレイルルートを歩いた経験をはじめ、耕運機や原動機付き自転車で行った日本縦断の旅について、自らが撮影した写真とともに説明した。
 みちのく潮風トレイルについては、「景勝地以外の景色もいい。人の営みや津波の脅威も感じられる」「無料の広い駐車場が各地にあり、テントを張れる場所が多く、ハイカーに喜ばれている。歩いたところを車や列車でルートをたどることもでき、自分なりのルートを歩くのもいい」などと評価。気仙では「佐々木朗希に届く旅」のルートを考え、大船渡市から陸前高田市を歩いたことなどを紹介し、「一気に歩くスルーハイクもいいが、何度も訪れたくなる楽しみがある」と語った。
 「三陸は冬も晴天率が高い。葉が落ちて眺めがよく、バードウオッチングにも好条件。観光的には人が少ない1、2月もトレイルを歩くには向いている」とし、乗り継ぎができるレンタル自転車の活用、既存の宿にある屋根裏や倉庫などを生かした簡易宿泊場所の提供といったルート充実のアイデアも伝えた。
 そのうえで、古い歴史を持つ四国八十八ヶ所の「お遍路」やスペインのサンティアゴ巡礼路を引き合いに、「みちのく潮風トレイルは『復興の道』。津波が来る前はどうだったのか、どんなことが起きたのかを想像し、祈りをささげながら歩くルートとなってほしい」と結んだ。
 この日は斉藤さんを交えた意見交換会も開かれ、基調講演も土台としながら沿線の交流人口拡大について語り合った。