災害廃棄物処理9319㌧に 大規模林野火災公費解体業務がすべて完了 〝対象外〟の被災施設も農協が着手
令和8年2月12日付 1面
大船渡市大規模林野火災に伴い、市が赤崎町と三陸町綾里で展開してきた被災建物の「公費解体」は、仮置き場敷地の原状回復も含めてすべて完了した。災害廃棄物の処理量は、建物の基礎部分だったコンクリートなど9319㌧に上り、想定を大きく上回ったが、地元事業者による作業に加え、がれきの「仮置き場」を設けるなどの対応で計画通りのペースで進んだ。対象外となっていたシイタケ栽培施設の解体も、市農協が事業主体となって今月から本格化している。(佐藤 壮)
被災した菌床シイタケ栽培施設の解体に向けた作業が本格化
公費解体は所有者の希望に応じて行うもので、生活環境保全や二次災害の防止などが目的。全壊に関しては国の災害等廃棄物処理事業補助金を活用し、半壊家屋などに関しては市の独自支援策として進めてきた。申請件数や災害廃棄物の処理量は別掲の通り。
昨年4月から被災者の申請を受け付け、同月には所有者らとの「現地立ち会い」が始まった。重機などによる「上物」の撤去は5月下旬に着手し、現地での解体撤去作業は12月25日に完了した。
処理量の重量別で最も多いのは、建物基礎の解体に伴うコンクリートくずで、順次リサイクル処理が進められた。東日本大震災時と異なり、建物資材などが燃えたことによる混合廃棄物が3分の1超を占めた。これらはアスベスト含有物も含め、市外で最終処分された。
木くずは基本的には焼却し、ガラスや陶磁器は埋却処分。金属くずは売り払いが行われた。
最終的な処理量は9319㌧まで伸びた。市は当初、着手前段階で6800㌧を見込んでいたが、想定を大きく上回った。
月別にみると、8月に1482㌧、9月に3299㌧、10月に2255㌧を処理した。県産業資源循環協会を通じて市内約10事業者が業務を担い、地元ならではの土地勘や住民理解のスムーズさを背景に順調に進んだ。
また、市は各現場で行われていた分別作業の集約化を目指し、赤崎町の永浜・山口工業用地内の県有地に仮置き場を設け、8月から搬入を開始。12月中に廃棄物をすべて専門処理施設に出し、今年1月中に仮置き場敷地の原状回復を終えた。
市の新沼優市民環境課長は「予想よりも多い処理量となったが、多くの協力があり、計画通り終えることができた。早期の土地利用に貢献できたのではないか」と総括する。
被災した地域では更地が広がり、場所によっては再建に向けた住宅の基礎などが見えるようになってきた半面、今年に入っても被災した爪痕が生々しく残る産業施設があった。三陸町綾里の野々前地域では、1事業者が管理する菌床シイタケ栽培施設2棟が全焼。復旧を諦め、火災前から使っている町外での生産に専念していた。
当初は、焼失した施設の解体・撤去に対する公的支援の見込みがなかったが、大船渡市農協が生産者支援の一環で解体業務の事業主体を担うことになった。現地では今月から、内部に残っていた資材を取り出す作業が始まっており、近く鉄骨などの解体も本格化する。
この施設で長年にわたりシイタケ生産にあたってきた舘脇一人さん(57)は「個人で費用を負担するのは、難しく、これまでは片付けることができるか不安だった。農協や市には感謝している」と話す。






