自動車避難の一部容認追加 市地域防災計画修正案で意見募集 津波対策検討会議の議論踏まえ

▲ 東日本大震災の教訓を踏まえ、渋滞対策と自動車でのスムーズな避難の両立が今後の課題に(平成23年3月11日、大船渡町内)

 大船渡市は、地域防災計画の修正案をまとめ、住民らからの意見募集(パブリックコメント)を始めた。これまでも国や県の計画に対応した形で修正を重ねてきたが、今回は昨年度取りまとめた市津波避難対策検討会議での検討結果に基づき、津波発生時における自動車避難に関する事項を加えた。迅速な避難行動を図る内容となっており、渋滞対策充実との両立など計画修正に基づく今後の具体的な取り組みが注目される。意見は25日(水)まで受け付ける。(佐藤 壮)


 この計画は、災害対策基本法に基づき策定し、市や県、各防災機関がそれぞれの機能を発揮し、相互協力して防災に万全を期すための災害応急対策、災害復旧・復興に関する事項を定めている。
 各種災害に共通する事項を示す本編と、地震・津波災害対策編などで構成。各機関の役割分担を明確化している。
 本年度の修正案では、一昨年の能登半島地震を踏まえ、避難所開設当初からのパーティション、段ボールベッドをはじめとした簡易ベッドの設置などが盛り込まれている。在宅避難者が多く生じる場合の支援に向けた拠点設置など、支援方策の検討も加わった。
 さらに、昨年度に市が設置した津波避難対策検討会議の検討結果を反映。避難可能地域を設定するなどして自動車避難を一部容認するとともに、津波避難計画では、自動車避難のあり方をまとめているほか、事業従事者や観光客等地理不案内者の避難対策の推進を掲げる。
 案によると、自動車による避難対象者は、避難行動要支援者や避難支援者に加え「各地区の津波到達時間までに津波浸水想定区域から徒歩で脱出できない人」としている。
 さらに、避難可能地域も掲げる。具体的には▽幹線道路(国道、県道)と平面交差(横断)しないで、津波浸水想定区域外に避難できる道路が確保されている。ただし、交通量が少なく容易に横断できる地域はこの限りでない▽徒歩避難者の避難を妨げない道路幅員(一方通行で5・5㍍程度以上)の道路がある▽避難車両の駐車場スペースが確保できる地域──を記している。
 修正案は、13日の市議会全員協議会で市当局が説明し、津波避難計画のあり方を巡り論戦が交わされた。警報時における市内の避難対象住民は、人口の約2割に相当。浸水想定域には事業所や宿泊施設もあり、観光客など住民以外の迅速な避難行動も求められる。
 東日本大震災では、信号が停電で稼働しない中で車両渋滞が発生し、大船渡町では津波が国道45号を越えて山側に押し寄せた。現在、浸水エリアに暮らす災害時の要援護者は400人程度とされる。交通量が多い盛、大船渡両町では、避難可能地域の該当が少ない課題も浮かび上がる。
 議員からは「原則徒歩避難」の見直しを迫る発言もあった。これに対し、当局は「渋滞発生を考えると、すべて車避難を容認すればリスクが大きい。『原則徒歩避難を変えるべき』といった意見は、昨年度の検討会議でも出なかった」「避難所までは車両が通行できる道路はつながっている。しかし、駐車場の問題で車両があふれ、渋滞することは考えられる。車両が動かない状態が一番危険」などと答えた。
 別の議員からは、計画策定後の市民周知の重要性を強調する声も。新沼晶彦総務部長は「現状では、自動車避難をすべて容認するのは困難。自動車避難の地域ごとのあるべき姿は、地域の方々と話し合いを重ね、実情を踏まえてより適切なものを見いだしたい」と述べた。
 このほか、「震災以降、国道45号の渋滞対策は、遅々として進んでいない。トラックなどの大型車が抜けられる道路がない」との指摘もあった。当局側は停電時でも信号機が稼働する改善点を挙げたほか、「予算や時間がかかるハード面だけでなく、緊急速報メールで『車から降りてすぐに逃げてください』と呼びかけるなど、ソフト面の充実も図りたい」との考えを示した。
 修正案は市ホームページに加え、市役所本庁(市民ホール)、三陸支所、綾里と吉浜の地域振興出張所、カメリアホール、リアスホールで閲覧できる。
 市ホームページからダウンロードできる意見書に、住所や氏名、電話番号も添える。各閲覧場所には提言箱を設ける。意見書の提出は防災管理室(市役所内)への持参や郵送、電子メール(ofu_bousai@city.ofunato.iwate.jp)などで対応する。
 問い合わせは同室へ。