陸前高田に「ピーカンの森」を 3月から植樹会実施 大阪の製菓会社 被災跡地8・8㌶に850本 市民らの参加募る

▲ 「被災低地部を希望の森にしたい」と力を込める前内代表取締役社長

 東日本大震災の津波をかぶった陸前高田市高田町の被災低地部で3月から、クルミ科の木の実「ピーカンナッツ」の木を植えるプロジェクトが本格的に動き出す。同町にピーカンナッツの加工・販売店を持つ製菓会社㈱サロンドロワイヤル(本社・大阪市、前内眞智子代表取締役社長)が、新事業として手がけていく。別法人が管理するピーカンナッツ試験栽培地3㌶の両脇8・8㌶に約850本を新たに植える計画で、一部の土地は社員たちが自力で造成した。3月11日で発災から15年。同社は企業や団体、市民参加型の植樹会を催し、被災跡地に「100年続く希望の森」を築く壮大なビジョンを描く。(高橋 信)

3月から苗木を植える予定地

 中心市街地のかさ上げ地に面する被災低地部。前内代表取締役社長が苗木の植樹を控える一帯を見渡し、「ここが市民や観光客に希望を与えるような場所となれば最高ですね」とイメージを膨らませる。
 ほ場は、同社直営のチョコレート店「サロンドロワイヤルタカタ本店」南側に広がる試験栽培地3㌶を挟んで東西2カ所に設けた。ともに市有地で、昨年秋から造成を行い、今年1月に完成した。
 東側にある2・8㌶は、取り組みに賛同する企業・団体とともに植樹するエリアに位置づけている。全長200㍍の畝12列を整備し、約250本を植樹する。
 3月中旬から明治ホールディングス㈱、㈱りそなホールディングス、サッカーJ1・川崎フロンターレなど10企業・団体が植樹する予定。各畝をストリートに見立て、企業・団体名を冠した名称をつけ、看板も設置する。
 西側のほ場6㌶では3月19日(木)を皮切りに、5月まで一般向けの植樹会を約20回催し、交流人口拡大を図る。誰でも参加可能で、総参加者2000人規模、約600本の植樹を想定。植樹後にまちなかを散策するプログラムも実施する。
 東側の造成工事は業者に発注したが、3~5月の植栽適期に間に合わせる必要があり、工期が短期間だったため、西側はタカタ本店の従業員らが自ら整備した。一帯の草刈りや、無数に散らばる大小さまざまな石の撤去など過酷な作業の連続だったが、社員が力を結束。一部で石が残るものの、三日月型の形状の敷地に、長さ30~150㍍ほどの畝を50列近く作った。
 パワーショベルなど建設機械の運転資格を持ち、現場を指揮したタカタ本店勤務の千葉淑恵さん(41)は「前職の経験がここで生きるとは思わなかった」と笑い、「なんとか間に合い、ほっとしている。たくさんの人が植樹し、将来的に森として残れば素晴らしいこと。携わることができて光栄に思う」と語った。
 米国で大規模に栽培されているピーカンナッツ。健康や美容に効果があるとされ、収益性の高さなどから、消費量が少ない日本国内でも徐々に関心が高まっている。
 陸前高田市、サロンドロワイヤル、東京大の3者は平成28年から、ピーカンナッツを活用した農業振興と地域創生を図る産官学プロジェクトを展開。産地化を見据えた試験栽培などが行われている。
 国内最大のピーカンナッツ取扱量を誇る同社は、市が整備した産業振興施設内に、令和4年、加工工場を併設した東北エリアの旗艦店「タカタ本店」を開業。ピーカンナッツを使った食文化の発信、6次産業化に取り組んできたが、プロジェクトのシンボル的な場として「ピーカンの森」を築こうと、新たに農業分野に踏み出す。
 前内代表取締役社長は「ピーカンナッツの植樹は、復興への〝希望〟を植えることでもあると思う。企業・団体、そして地元の方々と一緒に100年続くような森をつくり、それが希望のあかりとなるよう頑張っていく」と前を向く。