友好深化へ 一本松ホールで「絆まつり」 陸前高田と名古屋 交流事業参加者ら初開催

▲ アレンジされた『未来への翼』を歌うアーティストと地元中学生ら

 東日本大震災後、陸前高田、愛知県名古屋両市の中学生による「絆交流」に参加した有志が中心となって初めて企画した「絆まつり」(実行委主催)は22日、陸前高田市高田町の奇跡の一本松ホールで開かれた。両市の物販や展示のブース、ステージ発表を通じ、名古屋から寄せられた数々の支援の足跡や、現在も続く強いつながりを広く発信。同交流のテーマソング『未来への翼』アレンジ版の披露もあり、震災による悲しみの先で出会った温かな人の思いや、同じ時間を共有できることへの感謝を伝え合い、友好の深化を願った。(阿部仁志)

 

多くの来場者で盛況となった餅まき・菓子まき

 名古屋市は震災後、甚大な被害を受けた陸前高田市の行政全般を「まるごと支援」する取り組みを展開。修学旅行の機会を失った同市の中学生を名古屋市に招待する支援などから発展し、平成24年に両市教委が「絆協定」を、26年に両市が友好都市協定を締結。中学生が相互にまちを訪れる絆交流事業が、現在も続いている。
 今回のイベントは、過去の絆交流でつながった両市の有志で、実行委員長の大曽根壱哉さん(20)=名古屋大学2年=や、副委員長で高田第一中出身の松田由希菜さん(22)=早稲田大学4年、埼玉県在住=らが中心となって企画。テーマソング制作に携わったアーティストで、大阪府のshihoさん、陸前高田市の雪音さん、まっとさん、松本玄太さんの4人が後押しし、両市も後援した。
 穏やかな天候に恵まれたこの日、屋外には名古屋名物や陸前高田の海産物を扱うキッチンカーやテントが並び、食欲をそそる香りで来場者を呼び込んだ。中庭では陸前高田の「餅まき」と名古屋の「菓子まき」を同時開催し、ご当地キャラクターの「たかたのゆめちゃん」や「はち丸」も駆けつけ、幅広い年代の笑顔を呼んだ。
 ステージ発表は、陸前高田の氷上共鳴会が迫力ある太鼓演奏で幕開け。その後、佐々木拓市長がこれまでを振り返り、名古屋からの多大な支援に感謝を示しながら「両市が兄弟のように、ともに歩いていけるということは本当にありがたい。この絆をこれからもずっと大切にしたい」とあいさつした。
 次いで、広沢一郎名古屋市長も登壇。復興支援で職員を派遣したことに由来する同市の「絆の日」(3月23日)、令和3年に交流のシンボルとして陸前高田市から受け取った奇跡の一本松の遺伝子を持つ「後継樹」などについて説明し、「両市がともに歩んできた歴史を改めて振り返り、これからの未来に向けて、より一層絆を深めていきたい」と願った。後継樹から接ぎ木して育てた孫苗を佐々木市長に手渡し、〝里帰り〟をかなえた喜びも語った。
 このあとは、両市の交流から生まれた踊り曲『いこまいたかた、あばっせなごや』を雪音さんや舞踊の見咲樹会が披露したほか、アーティストらによるソロステージを展開。名古屋の絆交流の〝先輩〟らで作る名古屋teamSによる発表も行われた。
 結びには、この日に向けて再録音した『未来への翼』のミュージックビデオを上映したあと、アーティスト4人と実行委メンバー、地元の高田第一、高田東両中学校の生徒ら約20人がステージに立ち、テーマソングを合唱。アレンジを手がけた松本さんのピアノ演奏に歌声を重ね、「今、共に生きてる」の歌詞とともに、喜びを来場客と分かち合った。
 大曽根さんは「中学2年生のときに初めて陸前高田を訪れた時に、市民の方から『知ったことを名古屋で必ず伝えてほしい』と言われたことが、自分にとっての一つのターニングポイントになり、その感謝を伝えたいと思いながらこの日を迎えた。これからも、名古屋と陸前高田が互いに一つの街として交流していってほしい」と期待した。
 松田さんは「合唱では、現役の中学生に参加してもらえたことがうれしかった。イベントをきっかけに、陸前高田と名古屋の仲の良い関係がこれからも続き、その思いが、市全体に広がってほしい」と願っていた。