「山主の気持ちを大事に」 青葉組㈱岩手団に赴任の石田さん(埼玉県出身) 多岐にわたる森林再生業務従事へ
令和8年2月25日付 7面
大船渡市大規模林野火災の森林再生事業に向けて同市内に拠点を構えた青葉組㈱(中井照大郎代表取締役、本社・東京都)の「岩手団」に、埼玉県出身の石田郁也さん(36)が赴任した。これまで栃木県内で山林再生の活動に従事した経験を生かし、新たな環境で林野火災からの復旧・復興に携わる。「山主の気持ちを大事にしたい」と、多岐にわたる調整や現場作業に一歩ずつ向き合う決意を新たにする。(佐藤 壮)
石田さんは東京都の東京農業大学を卒業後、埼玉県内の牧場や森林組合勤務を経て、3年ほど前から青葉組の業務に従事。「栃木団」の一員として、スキー場跡地の森林再生などにかかわってきた。
大規模林野火災を受け、青葉組は昨年夏に出張所機能を構え、被災した森林所有者向けに説明会を重ねた。30年以上の管理委託や山林の買い取りという形を提案し、これまでに110㌶超(登記簿面積ベース)で契約・調整が進んでいるという。
大船渡での業務に向け、赴任の打診を受けた時に「自分も成長できるかな」と迷いはなかった。所有者との打ち合わせや、補助金活用に向けた行政との調整に加え、現場にも出向くなど、さまざまな業務に向き合う。
今週からは、綾里の林地約2・2㌶での作業に入る予定。3月に1人、4月にはさらに1人が加わる。伐採を終えた地で、横たわる木の整理や枝葉を集積するなどして、苗の植栽場所を確保する地ごしらえに入る。
その後はシカの防護柵を設け、植栽はコナラをメインとし、カエデも植える。これまでスギ中心だった地が、広葉樹の山林に生まれ変わる。
所有者も広葉樹による再生を望んでいたほか、青葉組も広葉樹を提案した。石田さんは「広葉樹のほうが、森林の多面的機能が高いといわれている。水源涵養や生物多様性の観点に加え、根もしっかり張る。土砂災害にも強い。もちろん、スギの植栽を希望する方もいる。最近契約した山主は、道に近い場所はスギで、奥のほうは広葉樹を望まれた」と語る。
栃木での経験を生かした業務になる半面、燃焼物が堆積した場所での植栽や市が進める山林再生事業との連動など、未知数の部分も多い。今後の業務に対しては「今、自分にできることは、特殊能力ではない。誰にでもできることを、こつこつとやっていく。一番は、山主の気持ちを大事にしたいと考えている」と口にする。
縁もゆかりもない土地での新生活が始まり、事務所拠点は東日本大震災の復興事業で生まれた大船渡町のキャッセン大船渡内に構えた。「きれいなまちで、震災から復興していると感じた」と印象を語る。未曾有の被災から立ち上がった地域の力強さや、出会う人々の温かさから、希望を見いだすようになった。
延焼面積が市内面積の1割超に及んだ大規模林野火災から、あす26日で1年を迎える。今冬は、各地で林野火災が頻発し、被災跡地の再生は共通の課題となる。「大船渡での取り組みが、今後の森林再生のモデルになれば。火災が起きた地域で育てるという流れを示し、全国に広がるようにしたい」と力を込める。





