被災林 広葉樹で再生を 三陸町綾里の民有林で「地ごしらえ」 青葉組がモア・トゥリーズの支援受け着手(別写真あり)
令和8年2月27日付 7面
大船渡市大規模林野火災の発生から1年を迎えた26日、被災した三陸町綾里の民有林で広葉樹の造林に向けた「地ごしらえ」が始まった。市による森林再生復旧事業の適用が難しい山林で、市内に拠点を構えた造林業を展開する㈱青葉組(中井照大郎代表取締役、東京都)が、一般社団法人モア・トゥリーズ(隅研吾代表理事、同)の支援を受け、所有者に金銭負担を求めずに植え付けを進める。被災森林が膨大な面積に及ぶ中、今後も民間のノウハウや資金力を生かした再生が求められる。(佐藤 壮)
作業現場は、綾里川ダム方向に向かう市道沿いの熊之入地内に位置する。黒く焦げたスギの切り株が残る民有林で、青葉組のスタッフ3人が、植え付けをする前の準備作業にあたる「地ごしらえ」を行った。乾燥が続いていた1年前とは違い、前日までの降雨で湿り気のある斜面で、枝や倒木、雑草などを整理した。
作業にあたる面積は2・2㌶。広葉樹のコナラとウリハダカエデ計2200本を植え付ける計画。今後、シカの防護柵を設置したあと、4月中旬から植え付けを行い、5月中旬の作業完了を見込む。
青葉組によると、スギの伐採は林野火災直後に行われたことで、激甚災害指定に伴う市の森林災害復旧事業の該当が難しい状況だった。同事業では基本的に山林所有者の負担を求めず、伐採・再造林を進める。
この民有林では、所有者が青葉組と管理委託契約を結び、既存の補助事業で補い切れない経費をモア・トゥリーズが支援。植え付けなどに対する所有者の費用負担はない。
植え付ける本数は一般的な現場と比べて少ないが、周辺にも広葉樹が自生しており、風による種の撒布予測なども加味している。広葉樹は森林の多面的機能が高いとされているほか、所有者もカエデなどによる景観の再生を望んでいたという。
青葉組は火災以降、30年以上の管理委託や山林の買い取りという形を提案し、これまでに110㌶超(登記簿面積ベース)で契約・調整が進む。今後は市の森林災害復旧事業との連動だけでなく、同事業の該当が難しい山林や、事業を希望しない所有者からの相談・契約も見据える。
森林保全団体のモア・トゥリーズは長年、令和5年に亡くなった音楽家・坂本龍一さんが代表を務めた。東日本大震災後、住田町が町内で独自の木造仮設住宅の整備を進める中、団体として寄付を呼びかけながら建設を後押し。その後も同町の町有林造成事業を継続的に支援するなど、気仙との関わりが深い中、大規模林野火災からの山林再生にも青葉組と連携しながら積極的に支援することにしている。
市が進める森林災害復旧事業は本年度、綾里地区内の市有林24㌶で被災木の伐採作業などを展開し、新年度は民有林でも実施する計画。被災した山林面積は3370㌶と膨大な規模に及び、同事業ではまかない切れない山林も今後出てくる状況が予想される。
伐採や造林、その後の管理を含めたマンパワーや費用確保には、公的制度だけでなく、民間の積極的な活用も求められている。青葉組とモア・トゥリーズのような連携が今後どのように広がるかが注目される。
青葉組の中井代表取締役(39)は「山火事跡地での再生は初めてだが、試行錯誤を繰り返し、森に戻していきたい。伐採跡地は災害リスクもあり、誰も管理しない状態が問題と思っている。災害復旧事業から外れた場所でも、合意がなされれば、管理をしていきたい」と話す。






