大船渡と東京つなぐ大漁旗 東京藝大による「むすびの旗」 猪川、立根小でワークショップ(別写真あり)

▲ 「むすびの旗」を制作し完成を心待ちにする立根小の児童や関係者ら

 東京藝術大学美術学部による「むすびの旗ワークショップ」は24、25の両日、大船渡市の猪川、立根両小学校で開かれた。同市と東京都の児童らが、協力して大漁旗を完成させる取り組み。本年度は、児童らが作ったオリジナルの色で幾何学的な模様を描き、地域の距離を超えて心を通じ合わせている。(菅野弘大)


 むすびの旗は、東日本大震災後の平成26年度に東京藝大の関係者らが中心となり、大船渡市内の小学校と東京都台東区立谷中小が共同で制作しているもの。同大と長年受託事業を結んでいる大丸松坂屋百貨店(本店・東京都)が行う東北の震災復興の取り組みとして始まり、現在は復興支援という枠組みを超え、美術教育を通して、児童らの想像力や創造力を養う機会としている。
 大漁旗は、縦2㍍、横3㍍。本年度は、昨年度から参加する猪川小と初参加となる立根小でワークショップを実施し、24日は猪川小2年生が取り組み、25日は立根小4年生が引き継いだ。
 このうち、立根小では4年生41人が活動。同学部デザイン科の藤崎圭一郎教授(63)と丸山素直准教授(42)のほか、学生らが指導にあたった。
 はじめに「大船渡の色をつくろう」として、児童らが絵の具を混ぜ合わせてオリジナルの色を完成させた。色に名前も付け、水と調整剤を加えて旗に塗る準備を進めた。
 児童らは教室を移動し、24日に猪川小2年生が色を入れた続きの作業に取りかかった。本年度はスイスの抽象画家、パウル・クレーが描くような形や色彩で仕上げることがテーマ。児童らは、グループごとに決められた長方形のスペースにどのような模様を描くかを話し合い、下描きをもとに色を塗っていった。
 線を書いて、はっきりと区別したグループもあれば、境界がぼかされたグラデーションのような仕上がりになったチームもあり、児童らの個性が存分に発揮された作品となった。余白部分は来月、谷中小2年生が色を入れ、完成させることとしている。
 立根小の齋藤希月さんは「つくった色に『グレープパープル』と名前を付けた。みんなで力を合わせて、個性が出た芸術的な絵にできたと思う。見た人が感動し、私たちの思い出に残るような旗になってほしい」と期待を込めた。
 藤崎教授は「子どもたちにある程度委ねると、われわれ大人の想像を超える作品が生まれることがある」と取り組みを見守り、丸山准教授は「抽象画は何を描いているか理解できないかもしれないが、それを考えることが大事。正解がないからこそ面白い」と芸術の奥深さを伝えていた。
 昨年度は盛、猪川両小と谷中小で「桜」をイメージした旗を制作。東京都上野の松坂屋上野店では、来月4日(水)から開催される「上野さくらまつり」に合わせ、この「むすびの旗」をメインビジュアルとした広告幕を掲揚するほか、店内装飾としての活用や実物の公開も予定している。