水道料金引き上げ提示 運営審で当局説明 10月から 激変緩和措置も
令和8年3月3日付 1面
大船渡市水道事業運営審議会(会長・佐々木晋大船渡商工会議所事務局次長)は2日、市役所で開かれ、市当局が今年10月からの水道料金改定案を示した。一般的な家事用(口径20㍉、月使用水量15立方㍍)は、現行の3174円から激変緩和措置を経て、来年10月には3933円と23・91%増となる。有収水量の減少や物価高などの影響に伴い、水道経営戦略の想定割合を上回る引き上げ率とした。市は今月の市議会での説明や意見募集、6月の議会議決を経て、市民らへの周知を進める。(佐藤 壮)
一般家事用は23・91%増
当局からの水道料金改定案を議論した審議会
委員は学識経験者や水道使用者ら10人で構成し、この日はオンラインも含め7人が出席。冒頭、今野稔上下水道部長は「非常に厳しい経営環境にある。水道経営戦略の14%を上回る料金改定を示しているが、実りある議論となれば」とあいさつした。
市側の説明によると、料金改定は今年10月で、9月使用分からの適用となる。平均改定率は19・9%だが、口径・用途別の料金改定率が17・5%を超えるものは、2年間をかけて段階的に引き上げる。見直しに伴い、メーター使用料は廃止し、基本料金に統合する。
平均使用水量をもとにした一般家庭での家事用(口径20㍉、月使用水量15立方㍍)の料金改定は別掲の通り。段階的な引き上げを経た改定後の料金増加率は23・91%で、年間負担は9108円の増となる。
団体用(同、月間使用水量7立方㍍)は11・45%、営業用(同、月間使用水量13立方㍍)は3・12%、工場用(同、月使用水量584立方㍍)は30・66%をそれぞれ引き上げることになる。
水道使用者は口径25㍉以下の家事用利用者が多く、今年1月段階では全体の85・9%を占める。これまで低廉に設定されていた25㍉以下の家事用は、将来の口径別料金体系への移行を見据え、同じ口径の団体用・営業用よりも引き上げ幅を大きくすることで、格差是正を図る。
改定は令和3年4月以来。市の水道行政を巡っては、6年4月に旧市内の水道事業と旧三陸町内の簡易水道事業を統合したのに合わせ、水道事業経営戦略を策定。総括原価よりも給水収益が少ない状況が続く中、経営基盤の強化を目的に「8年度に平均14%の料金引き上げ改定が必要」との試算を示していた。
一方、給水人口減少に伴う給水収益の減少に加え、物価、エネルギー費、人件費の高騰など策定後に影響が大きくなった要因による営業費用の増大を受け、当局は今回、想定を上回る引き上げ率の提示とした。合わせてコスト縮減も進め、建設改良費は更新対象施設の重要度や優先度の見直しによって工事を後年に繰り延べるなどして、経営戦略で24・2億円としていた9~13年度の建設改良費を21・8億円に見直した。
委員からは、コスト縮減の見直しをさらに進めることで安定運営を求める声が出た。このほか「家事用は2段階の引き上げを計画し、その後も収支が15年度には赤字になる試算となっている。意見募集では、将来的な値上げの見通しも示していかないと、後々で理解を得るのが難しいのでは」「家事用が将来、どこまで上がるか不安もある」との発言もあった。
引き上げ率自体に関して、委員から明確な反対意見はなかった。一方、審議会に欠席した委員による「生活費の圧迫につながるもので、低所得者や高齢者世帯への影響が懸念される」「料金改定後は、滞納者の増加が予想される。水道停止は孤立・虐待・ネグレクトのリスクに直結することから、料金滞納前段階から福祉部門と情報共有を図るなど、連携体制を強化していくことが必要」といったコメントも紹介された。
市は先月から、国の経済対策と連動した物価高騰対策として、水道基本料金とメーター使用料の減免事業を実施している。家事用口径20㍉で20立方㍍を使用した場合、通常の水道料金(下水道使用料除く)は、基本料金1808円、メーター使用料266円の請求を行っていない。現段階では、期間は5月までとしている。
この事業に対して、委員から「助かっている」との声も。市当局は「この減免は国の交付金を利用しているもので、水道事業の収益には影響はない。ただし『減免になったことのリバウンドで引き上げた』と勘違いされないよう、周知をしていきたい」とし、理解を求めた。






