海藻類の共同研究推進へ 理研食品㈱、北里大、県水産技術センターが連携協定 海水温上昇など環境変化に対応 優良育種、系統保全見据え(別写真あり)
令和8年3月4日付 7面
理研食品㈱(本社・宮城県多賀城市)と北里大学海洋生命科学部(神奈川県相模原市)、県水産技術センター(釜石市)は2日、本県における海洋環境の変化に対応したワカメ・コンブなど海藻類の共同研究を推進する連携協定を締結した。海の高水温化などで、本県の養殖ワカメをはじめとした海藻類も影響を受ける中、3者によるコンソーシアムを設置し、優良品種の育成や産地ごとに異なる特性を持った地域系統(遺伝資源)の保全の研究を進め、将来的な増産や藻場造成への活用などを目指す。北里大では、大船渡市三陸町越喜来の三陸臨海教育研究センター(SERC)内に活動拠点を整備する予定で、研究開始は来月からを見込む。(菅野弘大)
同日は、県水産技術センターで連携協定締結式が開かれ、同社の佐藤陽一取締役・原料事業部長、同学部の天野勝文学部長、同センターの太田克彦所長のほか、関係者らが出席。3人が協定書に署名を行ったあと、佐藤取締役が研究内容を説明し、産学官が連携した取り組みに期待を込めた。
海藻類は、食材としての価値だけでなく、大気中の二酸化炭素を海中に貯留するブルーカーボン効果、プラスチックの代替素材など、多面的な利活用法が注目され、世界での養殖生産量は年々増加。しかし、日本では1990年代をピークに減少しており、特にワカメ・コンブは天然、養殖ともに収量が激減するなど、生産性の向上が必要な状況となっている。
本県の養殖ワカメは近年、海水温の上昇の影響で、種まき時期の遅れや芽落ち、生育不良などに悩まされてきた。海藻類も磯焼けの拡大が深刻で、これらの地域課題に対応するための共同研究に向けた協定締結に至った。
研究内容は、主に高水温耐性または高成長の優良品種の育成と、地域系統の保全で、期間は令和8年度から3年間。県水産技術センターが地域系統の収集、同学部が地域系統の保管、同社が種の掛け合わせによる種苗生産などの優良系統育成をそれぞれ担い、将来的な育種リソースの確保と「岩手品種」の育成促進、三陸産ワカメ品種育成の有用性と認知度向上などから、県産のワカメ増産への貢献を目指す。
いずれは、アラメなどコンブ目褐藻類全般に取り組みを広げ、ブルーカーボン効果も期待される藻場造成への活用、公的機関への資源管理委託、漁協等での生産・供給などの社会実装も見据える。
理研食品は、昭和44年に大船渡市末崎町に業務用冷凍海藻関連製品の製造工場を開設。令和3年には、陸前高田市米崎町に海藻の陸上養殖施設を整備するなど、海藻類の研究等において多角的な知見を持つ。
北里大海洋生命科学部も、本県の水産分野における豊富な研究実績を誇り、同社と連携した海藻類の研究に取り組んできた経緯がある。県水産技術センターでも、長年にわたる研究で養殖現場の課題解決を目指しており、3者でタッグを組んで本県沿岸の生産活動の発展につなげる。
締結式で太田所長は「近年の海洋環境の変化、海水温の上昇は、養殖生産量の減少、磯焼けによる藻場の消失を招いている。3者が持つリソースを最大限活用し、本県の海藻類養殖の発展に資する画期的な研究成果が得られることを期待する」とあいさつ。
佐藤取締役は「いま動かなければ手遅れになってしまうという危機感を持っている。特に、育種の推進と、遺伝資源の保全が大切。3者の力を合わせ、研究を推進していきたい」と力を込めた。
天野学部長は「コンソーシアムには、東日本大震災前から三陸地域の海藻研究に携わってきた教員も参画しているほか、理研食品には本学出身のメンバーもいる。多くの研究成果を生み、持続的で活力ある豊かな漁業生産活動の発展に寄与できることを期待している」と述べた。





