ペット同行避難に課題 市議会定例会一般質問で当局答弁 大規模林野火災時に可能施設開設も

▲ 大規模林野火災を受け、旧吉浜中に開設されたペット用避難所(令和7年3月8日)

 大船渡市議会3月定例会は4日、通告に基づく一般質問が行われた。大規模林野火災から1年、東日本大震災の発災から15年を迎えて防災への関心が改めて高まる中、ペット同行避難所を巡り論戦が交わされた。大規模林野火災時は一時的に同行避難可能施設が開設されたが、当局は場所をあらかじめ選定していない状況を明らかにした。運営主体の明確化や衛生面への対応など受け入れの難しさに触れた一方で「喫緊の課題」との認識を示し、同行避難可能な施設の選定・体制づくりを引き続き探る方針を掲げた。(佐藤 壮、2面に一般質問の主なやりとり)


教訓踏まえ検討継続


 ペット同行避難を取り上げたのは、三浦隆議員(新政同友会)。昨年2月26日に出火した大規模林野火災では、ペット同行の避難所利用が難しく、多くが車中泊を強いられた。
 避難指示は、三陸町綾里の全域と赤崎町の蛸ノ浦地区、中赤崎地域に加え、三陸町越喜来の甫嶺地域にも及び、計1896世帯4596人に出された。各地の公共施設に避難所が設けられ、ピークとなった3月6日には1249人が利用したほか、親戚宅などへの避難は3000人を超えた。同10日の全域避難解除で大きく減り、住宅が被災した住民中心の利用を経て、5月末で全施設が閉鎖した。
 県は発災から3日後、大船渡保健所に「同行避難したペットの一時預かり相談窓口」を開設。協定を締結している動物愛護団体が、ペットの一時預かりを行ってきたほか、近隣の保健所が同保健所を支援した。
 また、三陸町吉浜の旧吉浜中学校の避難所では、3月8日からペットも受け入れられるようになった。パーティションでスペースを区切るなどして、イヌやネコなど約140匹が身を寄せられるよう対応した。
 三浦議員は、旧吉浜中に同行避難所を開設した動きを評価しながらも「開設時期が遅れ、機を失した感は拭えない面もあった。タイミングを逃すことがないように、今後も同伴避難所として位置づけてはどうか」と提言。避難者が迷わずに旧吉浜中に向かう習慣づけや、事前対応・準備の充実といったメリットを挙げ、当局の見解を求めた。
 これに対し、新沼晶彦総務部長は「現在、同行避難できる避難所は選定していない」と答弁。理由として「運営主体の明確化に加え、動物アレルギー、衛生面での配慮など整理すべき課題が多岐にわたる。特に、避難所における人員体制の確保や、避難が長期化した場合の環境維持については十分な検討が必要」と述べた。
 一方で「ペットが家族の一員である世帯の心情を鑑みれば、避難対策の充実は喫緊の課題と受け止めている」とも答弁。そのうえで、大規模林野火災の教訓を踏まえ、ペットと同行する避難者の適切な受け入れに向け、施設選定や関係団体との連携等、県などのアドバイスを受けながら検討を進める方針も示した。
 再質問で同議員は、県が県獣医師会や県内の動物愛護団体等と災害時の動物救護活動の協定を締結している対応に加え、ペットと過ごす県民向けに災害発生に備えるポイントを周知している取り組みを挙げた。
 そのうえで「大規模林野火災時は、市民から『もう1カ所あれば』との要望も受けた」と発言。伊藤晴喜防災管理室次長は「ペット避難の受け入れは課題がさまざまある。クリアできる施設を改めて探していきたいと考えている」と答えた。
 一般質問は、きょう5日と6日(金)も行われる。11日(水)で震災発生から15年を迎える中、各議員からは、個別避難計画の策定や車中泊への対応、原則徒歩避難の周知のあり方、避難指示運用の見直しなど、震災後の避難行動やインフラ整備、防災施策を踏まえた通告があり、論戦の行方が注目される。