大規模林野火災の被災木 公共事業でも活用検討へ 一般質問で当局示す 復旧事業 建材用で搬出実績も

▲ 森林災害復旧事業に基づく伐採作業現場=三陸町綾里(昨年11月30日)

 大船渡市議会3月定例会は6日、最終日となる一般質問が行われ、複数の議員が大規模林野火災で被災した山林の再生を取り上げ、当局と論戦を交わした。伐採した被災木の活用について、渕上清市長はすでに着手した山林災害復旧事業現場から建材用として出された動きに触れたほか、今後は公共事業での活用も検討する姿勢を示した。(佐藤 壮、2面に一般質問の主なやり取り)

 

 被災木の活用を質問したのは滝田松男議員(日本共産党大船渡市議団)。定例会初日に渕上市長が施政方針演述で被害木の有効活用を挙げたことに触れ、具体的な内容や、活用できる被害木の量などを尋ねた。
 市は本年度、激甚災害指定に伴う森林災害復旧事業の先行展開現場として、三陸町綾里熊之入地内の市有林で被災木の伐採作業を進めてきた。答弁で渕上市長は「木材出荷の実績としては、建材用として合板製造工場や製材所に、燃料用として木質バイオマス発電工場に出していることを確認している」と述べた。
 令和8年度は私有林でも着手が見込まれ、相当量の搬出が予想される。一方、同じ区域の森林内でも被害程度が異なるといい、課題面として「伐採する長さの調節や、建材用途と燃料用途に選別する必要があるなど、健全な森林よりも手間がかかる」と説明した。
 今後に関しては「より多くの有効活用を促進するため、市が実施する公共事業などでも積極的に活用に向けた検討を進める。8年度予算案では市独自の補助事業として、現在実施している地域材利用促進事業に個人や民間企業による被災木活用を支援する内容を拡充している」と述べた。
 有効活用できる被災木材量は「試算できない状況」と語った。被災した人工林における立木の量は、県の森林クラウドシステムのデータに基づく算定では、被災面積1785㌶に98万立方㍍との推計を示した。
 昨年12月に示された県林業技術センターによる被災木の強度調査に関する最終報告では、発災から4カ月が経過した被災木による丸太は健全材と同程度の強度性能で、板材も集成材に利用可能なレベルだった。一方、全体が被災した樹木は樹皮厚が薄く、今後の保水、防虫抗菌などの機能低下の懸念があり、早い時期に利用する重要性も浮かび上がった。
 船野章議員(改革大船渡)は、被災木の伐採や植栽に関する1㌶当たりの費用試算を追及。山岸健悦郎農林水産部長は、県の標準単価をもとに算定している状況を示した。
 代表的な森林を例とし、1㌶当たり500立方㍍以上の樹木が生育している森林では、被害木の伐採費用は379万円(消費税込み)。再造林に向けては「最も広い範囲で適用が見込まれる例として、花粉症対策のスギを2000本植栽する想定では157万円(同)。さらに、シカ防護柵は800㍍の設置で199万円(同)と見込まれ、再造林にかかる合計費用は356万円(同)となる」と説明した。 
 市は8年度予算案に、森林災害復旧費として27億7443万円を計上。被災した森林整備を行う財源となり、市有林における被害木の伐採・搬出は161㌶で約7億円、私有林は306㌶で約18億円を見込む。いずれも国の激甚災害指定に伴う森林復旧事業を進める。