利用予定込みで90%超え 大船渡駅周辺地区の土地利用率 新規出店の動きで〝大台〟に

 大船渡市が東日本大震災の復興事業で整備した大船渡駅周辺地区土地区画整理事業区域内の土地利用率(面積割合)は、利用予定も含めて90・2%となった。基盤工事が完了した平成31年以降、90%を超えたのは初めて。実際に利用する割合は昨年に続き88・1%となっている。発災から15年を迎える中でも新規店舗の見込みがあり、集積による相乗効果や新たな取り組みを生む好循環が期待される。(佐藤 壮)

 

土地利用が進む大船渡駅周辺地区

 土地利用率の推移は別掲。市がまとめた事業区域内における利活用状況によると、道路や公園などの公共施設用地を除く21・36㌶のうち、利用中は18・81㌶。内訳は、住宅が41筆1・62㌶、店舗が161筆14・09㌶、住宅兼店舗が20筆0・33㌶などとなっている。
 利用予定をみると、住宅が4筆0・07㌶、店舗が3筆0・38㌶となっている。利用予定を含む土地利用率は前年度から1・4ポイント上昇し、初めて90%を超えた。
 大船渡駅周辺地区は被災後、土地区画整理事業(事業区域33・8㌶)による復興まちづくり事業を展開。JR大船渡線から山側(西側)では、震災規模の津波に対応した安全な住宅地区として整備した。海側(東側)は商業・業務地区として整備するとともに、災害危険区域の指定による居住制限や商業・業務系の利用を誘導してきた。
 平成25年8月に着工し、31年3月末で土地のかさ上げや道路整備、公共施設の建設といった基盤整備工事が完了。4月には最後の「まちびらき」式典が盛大に催された。
 令和4年以降、利用予定を含む土地利用は80%台後半で推移。実際に動き出した土地利用率が年々増加を続け、6年度末には両者の差がほとんどなくなったが、本年度に入り再び開き、新たに出店の動きが出ていることがうかがえる。
 昨年10月時点における未利用民有地での地権者の利用意向をみると、面積別では賃貸が43・9%、売却が26%、未定が19・3%など。未利用地のうち、43・7%が土地利活用マッチング事業に登録している。
 事業区域をJR大船渡線と須崎川を境としてA、B、C、Dの4区域に区切り、地権者が売却・賃貸を希望する土地の情報をホームページで公表。希望者からの申請を受け付け、地権者を紹介している。
 市は今後も、賃貸・売却の意向を示す所有者への支援に向けて、気仙管内の宅地宅建取引業者と情報交換を行うとともに、引き続き同事業への登録を促しながら未利用地の活用を目指す。
 大船渡駅周辺地区では近年、10月に産業まつりの開催が定着し、夏には音楽ライブや子ども向けの水遊びイベントの利用も。「バイクの駅」を目指したライダーの来訪が増加し、スマートフォンを使った防災アドベンチャー「あの日」の運用など、特色ある取り組みが展開されている。
 震災発災から15年を迎える中、大船渡駅周辺地区の復興状況を巡っては、4~6日の市議会一般質問でも論戦が交わされた。渕上清市長は「官民協働のエリアマネジメントの取り組みで、昨今においても新規の土地利用が図られるなど、復興の象徴的なエリアとしての再生が進んでいる」と手ごたえを示した。一方、同地区以外での土地利用が進んでいない現状も指摘し「地域の活力を生み出す取り組みを進めなければ」としている。