「世界に通用する商品に」 三陸ブルーイング・カンパニー 念願の自社醸造スタート
令和8年3月13日付 7面
三陸沿岸の原料を使ったクラフトビール「三陸ビール」の製造・販売などを手がける大船渡市の「三陸ブルーイング・カンパニー合同会社」(南忠佑代表)は12日、自社での醸造をスタートした。同社は昨年、大船渡町の商業施設「キャッセン大船渡」内に醸造所を整備。これまで委託醸造で商品を製造してきたが、念願の自社醸造開始を迎え、南代表(48)は「世界に通用する商品に」と意気込む。(清水辰彦)
南代表は開業前、東京都内の企業に勤めながら趣味で醸造所に通って勉強を重ねてきた。妻の佳代子さんが大船渡町出身という縁で頻繁に気仙に通う中、ビールの副原料として魅力的なものが数多くあることに気づき、平成30年に同社を設立。委託醸造で三陸の素材を使ったビールの製造を行い、三陸沿岸を中心に盛岡市や仙台市、首都圏へ販路を広げてきた。
会社設立当初から、「いつか大船渡に醸造所を」という思いを持っており、昨年12月、「キャッセン大船渡」内に醸造所を開業。先行してタップルーム(飲食スペース)をオープンさせ、同社がメインで販売している「週末のうみねこ」「恋するセゾン」「伊達男IPA」の3種類に加え、東北をはじめとした全国各地のビールを提供している。
今月5日、大船渡税務署から「発泡酒製造免許」が交付されたことで、自社醸造が可能に。委託醸造先がビール製造免許を有しているため、これまでの同社の商品は「ビール」に分類されてきたが、自社醸造開始にあたっては副原料を調整し、まずは「発泡酒」を販売していく。その後、徐々に製造量を増やし、将来的にはビール製造免許を取得したい考えだ。
自社醸造初日の12日は、南代表やスタッフが朝から慌ただしく「週末のうみねこ」の仕込みを行った。醸造では、細かく粉砕した麦芽をお湯に混ぜて酵素の力で麦芽のデンプンを糖化させ、甘い麦汁を作る。その後、麦汁を煮沸しながらホップと副原料を加えることで、特有の苦みと香りが付与される。麦汁を冷やしながら発酵タンクに移して酵母を加えると、糖分がアルコールと二酸化炭素に分解され、発泡酒が出来上がる。
この日仕込んだ「週末のうみねこ」は、ベルギー発祥で、フルーティーな香りと清涼感のある味わいが特徴の「ベルジャンホワイト」(白ビール)をベースとしており、副原料にはオレンジピールとコリアンダーを用いた。
こうして1カ月ほどで完成するといい、その後はタップルームで提供。気仙管内の店舗とオンラインストア限定で、缶で販売する構想もある。今後は順次、自社製品の仕込みを行い、ラインアップの増加も図る。令和8年度は、年間40㌔㍑の製造を目指す。
南代表は「世界のコンテストで賞をもらって、海外からも飲みに来てくれるように、海外にも大船渡の名前を知ってもらえるようにしていきたい」と醸造に情熱を注ぐ。





