大規模林野火災に伴う森林再生計画── 「大船渡モデル」どう反映 市議会全協と林地再生対策協で協議へ
令和8年3月20日付 1面
大船渡市は、大規模林野火災に伴う森林再生計画の年度内策定に向け、23日(月)の市議会全員協議会と27日(金)の林地再生対策協議会で、それぞれ計画案を協議する。被災面積が3370㌶に及ぶ中、人工林の再生は森林災害復旧事業のほか、他事業でも市が支援策を織り交ぜ所有者の経費負担を抑える方針。渕上清市長が施政方針演述で「いわて・大船渡モデルとして、全国から参考とされるようなものに」と掲げた中、盛り込まれる内容の実現に向けた体制づくりなどが注目される。(佐藤 壮)
森林復旧は、局地激甚災害指定で適用される森林災害復旧事業を最大限活用するほか、その他利用可能な事業も織り交ぜ、公益的機能の回復を図る方針。森林資源の再生や環境保全に向け、森林再生計画では取り組む事業やスケジュールなどの方向性を示すことにしている。
昨年11月に開催された林地再生対策協議会では▽森林復旧に向けた基本方針▽路網の整備▽実施事業▽森林復旧のエリア区分(ゾーニング)▽森林復旧に向けたスケジュール──などを盛り込む見通しが示された。
今月の市議会全員協議会と林地再生対策協議会は、月内策定に向けて成案された内容をもとにした協議が見込まれる。計画期間は、本年度から令和11年度までで、局地激甚災害指定で適用される森林災害復旧事業は10年度までとしている。
先月20日の市議会で施政方針演述を行った渕上市長は「被害木の有効活用、市民や民間事業者との協働、グリーンカーボンとの連動など、多様な主体により再生が進むような工夫や、森林所有者の意欲を喚起するための市独自の支援制度も検討する。本市の取り組みをいわて・大船渡モデルとして、全国から参考とされるようなものにしたい」と語った。具現化の内容と、実施体制をどう構築するかが今後の注目点となる。
また、市は今月19日の定例記者会見で、森林再生計画に森林災害復旧事業以外にも適用できる事業のメニュー内容などを盛り込む方針を明らかにした。所有者の負担や市の補助支援も示すことにしている。
昨年秋、被災森林所有者の人工林1709・37㌶を対象に森林災害復旧事業意向調査を行ったところ、半数近くの783・74㌶で同事業を活用しての伐採、再造林希望が明らかになった。
一方で「希望しない」は685・89㌶、未提出は239・74㌶に上る。この所有者に対し、森林再生をどう支援するかが課題となる。市民生活の安全確保に向け森林の復旧や土砂流出を防止する対策としての整備が必要な区域は約1300㌶と見込まれ、同事業の希望面積とは開きがある。市農林課では再度、意向確認調査を行うことにしており、時期は「早ければ令和8年度中に行いたい」としている。
同事業では、被害木の伐採と整理作業(地ごしらえ)に加え、植樹やシカ防護網の設置などを行う。伐採や植栽で所有者負担はないが、森林保険の保険料や除草作業以降の管理費用などが発生する。
市はこれまで、所有者負担の緩和策を講じる方針を示してきた。同事業に該当しない区域の森林整備事業にも、負担軽減に向けて支援することにしている。
新年度予算では森林災害復旧事業費に27億7443万円を盛り込み、市有林は161㌶、私有林は306㌶で伐採を進める計画。シカ防護網設置も含めた跡地造林は30㌶程度で、私有林を中心とした作業路確保は15㌔程度を見込む。
本年度は伐採整理で計22・84㌶を発注。基本的には、伐採整理を行った翌年度に跡地造林を進める流れを描く。地元事業者が対応できる作業は、1年間で50㌶程度とされ、マンパワー確保も課題となる中、市では受注団体の対象を広げるといった対応も検討する。





