「復興割」1万3908泊に 昨年6月~今年1月の大規模林野火災復興支援策 平日の宿泊利用促進に一定効果

▲ 宿泊、飲食施設が集積する大船渡駅周辺地区。大規模林野火災の影響が懸念された中、宿泊割事業では一定の下支え効果が見られた

 大船渡市が大規模林野火災からの復興支援策として昨年6月~今年1月に実施した、大船渡復興割事業の利用実績がまとまった。市内の宿泊施設を利用する観光客に対し、1泊当たり上限3000円の助成と、飲食店で使用可能な1000円分のクーポン券を配布。1万3908泊分の宿泊で利用され、クーポン券の換金総額は900万円近くに上った。前年よりも宿泊数が上回った月もあり、関係者は下支え効果に手応えを示す。今後は既存の観光資源などを生かした宿泊需要をどう創出するかが鍵となる。(佐藤 壮)

 

 昨年2月の大規模林野火災以降、同市内への旅行を見合わせる動きが広がったのを受け、市は県の補助金などを生かし、観光需要や消費拡大の喚起などを図ろうと、昨年6月29日のチェックインから復興割を適用。期間のうち、土・日、祝日の前日に加え、お盆期間を含む8月前半は対象外とした。
 宿泊施設を利用する観光客らは、本来の宿泊料金に応じて、3000円、2000円、1000円、500円をそれぞれ割り引いたサービスを受けた。さらに、市内300程度の店舗・事業所で利用可能なクーポン券も1泊当たり1000円分(500円×2枚)を配布した。
 宿泊は、市内のホテルや旅館など16施設が対象。当初は12月1日までとしていたが、1月末まで約2カ月間延長。確保した予算は3000万円で、実際の助成費は2959万円と、ほぼ全額を使い切った。
 月別利用は、6月(下旬のみ)が172泊、7月が2642泊、8月が1363泊、9月が2460泊、10月が2359泊、11月が2657泊。延長となった12月は1066泊、1月は1189泊だった。一つの宿泊施設だけで1カ月1000泊を超えるケースも見られたほか、事業者からは「平日利用の下支えになった」との声も聞かれた。
 市観光交流推進室が集計した宿泊者数の速報値によると、昨年3月は1万3342人。大規模林野火災などに伴う工事関係利用が4割を超え、前年を約2000人上回った。
 その後、4月は9729人、5月は8999人、6月は8648人で推移。前年はいずれも、1万人を超えていた。
 復興割が本格化した7月は1万4599人、8月は1万5207人、9月は1万907人、10月は1万1783人、11月は1万403人、12月は7507人。前年を下回ったのは10月と12月のみだった。
 クーポン券は約1000万円分を配布し、事業者から換金申し込みがあったのは886万円分。店舗では「クーポン券をもらったので、買い物に来た」という旅行者も見られたといい、物産品などの購入意欲喚起に一定の効果があったことがうかがえる。
 東日本大震災の復興事業で整備された大船渡駅周辺地区には、宿泊施設や飲食施設が多く立地。宿泊を伴う長い滞在時間を創出し、市内経済全体に幅広い効果を生み出す流れづくりが求められる。
 宿泊者への直接的な支援が終わり、今後は市の魅力や復旧・復興状況の発信など、来訪意欲をどう高めるかが課題となる。市観光交流推進室の古内弘一次長は「各種観光イベントの開催などを生かし、民間団体や関係団体と連携を強め、誘客を図りたい。新年度は、通行規制が続いた(大規模林野火災被災区域の)みちのく潮風トレイルルートも通行できるので、ハイカーらの来訪も増えていけば」と見据える。