3エリアに「ゾーニング」 大規模林野火災に伴う森林再生計画案 私有林復旧は下刈り経費にも補助
令和8年3月24日付 1面
大船渡市は23日、市林地再生対策協議会(会長・山岸健悦郎農林水産部長)がまとめる「令和7年市大規模林野火災に係る森林再生計画案」を示した。被災森林全体を三つのエリアに区分し、国の激甚災害指定に伴う森林災害復旧事業、いわて環境の森整備事業、森林整備事業を活用しながら再生を進める方針。市が補助制度を創設することで、私有林の復旧では導入事業を問わず、伐採や跡地造林、下刈りなどの費用を全額負担し、所有者負担を抑える支援策も明らかになった。(佐藤 壮)
この計画は、被災した森林の再生に向けて基本的な考え方を明らかにし、市や県、国、関係団体などの認識を共有するとともに、再生策や具体的な取り組みを体系的に定めるもの。期間は7年度から11年度までの5年間で、副題には「大規模林野火災からの森林再生に向けて─いわて・大船渡の挑戦─」を掲げる。
計画案は23日に開かれた市議会全員協議会で示された。27日(金)に開催される同協議会でも議論を予定し、年度内の策定を目指している。
計画案によると、森林再生に向けた基本方針では、居住地や綾里川ダム、大船渡湾、漁場など生活環境への影響を考慮。エリア区分による優先度を勘案し、森林所有者や管理者の意向に意を配りながら、被災森林全体の多面的機能の回復を図る。被害項目が大きい人工林の復旧は、森林災害復旧事業を最大限に活用して伐採や植栽などを進める。
焼損の著しい地区は、治山ダム整備などの土砂流出対策を展開。天然林は経過観察をしながら、天然更新による自然復旧を基本とする。植栽はスギやカラマツ、広葉樹など異なるタイプの樹種から考え、延焼しにくい多様な森林に誘導することにしている。
エリアは▽市民生活への影響等を踏まえた森林再生・防災対策▽森林再生を通じた交流の場を見据える森林ふれあい▽中長期的に森林機能の再生を進める森林育成──にゾーニング(区分)する。区域図(一部加工)は別掲の通り。
このうち、森林再生・防災対策ゾーンは2349・9㌶。居住地や大船渡湾、漁場、綾里川ダム等への影響を考慮し、市民生活の安全のために特に重要な森林の区域を定める。森林再生や土砂流出の防止など、早急な対策が求められるため、再生の優先度が高い区域として位置づける。
区域内では国の激甚災害指定に伴う森林災害事業を進める。現段階では1248・7㌶を見込み、期間は10年度まで。被災木の伐採・搬出、跡地造林などを行い、その後の下刈りも含め、森林所有者の負担はない。森林保険加入費用は、所有者の負担となる。
残る面積の多くは天然林となる。基本的には自然復旧を見守る形となるが、2次被害防止を見据え、治山事業や砂防事業も併せて進める。
森林ふれあいゾーンは35・7㌶。地域住民やボランティア団体、民間企業など、多様な主体が森林に親しみながら再生に取り組む区域に位置づける。植樹・育樹イベントや森林体験活動などを想定する。
残りの森林育成ゾーンは、中長期的な視点で森林機能の再生を進める。森林整備事業と、いわて環境の森整備事業の導入を描く。
私有林を対象とした森林整備事業も、被災木の伐採・搬出、地ごしらえなどの跡地造林、下刈りも含めて森林所有者の負担はない。下刈りなどは、市森林整備推進事業による補助を充てる。いわて環境の森整備事業も私有林で進め、市からの補助で森林所有者の負担はなしとする。
スケジュールでは、森林災害復旧事業は10年度まで、森林整備事業といわて環境の森整備事業、治山事業、被災木の利用はそれぞれ11年度まで。砂防事業は9年度までとするが、市は「柔軟かつ確実に事業を推進するため、随時見直しを行っていく」としている。
複数の議員から、計画年度内に終わらない場合の対応やマンパワー確保について質問が出た。市当局は「県森林組合連合会などにも相談し、地元外からも人員を回してもらう対応が必要と考える。年度内に終わらない場合は、その都度国に相談しながら対応する。できるだけのことは市で行う」と述べ、理解を求めた。
また、渕上清市長は「地元事業者の活用はもちろん、さまざまな人を呼び込む契機にもしたい。これまでのつながりを確認しながら、広く林野再生に取り組みたい」と話した。





