親しんだ工房に別れ 三陸町陶友会が解散へ 旧甫嶺小敷地内の施設が老朽化 

▲ 約30年の活動に幕を下ろす三陸町陶友会

 大船渡市三陸町越喜来の旧甫嶺小学校敷地内にある「さんりく陶芸工房」を拠点に活動してきた三陸町陶友会(及川光三会長、会員12人)は今月末で解散し、約30年続いた活動に幕を下ろす。市が所有する同工房が老朽化し、用途廃止されるためで、会員たちが名残を惜しみながら最後の作品作りを行っている。(清水辰彦)

 

 旧三陸町では平成7年度、町民の生涯学習機会の拡大を図ろうと開設された「さわやか大学」に陶芸コースが設置されて人気を集め、その受講者が中心となって同9年、町に陶芸窯設置を要望。
 これを受け町では、三陸鉄道の利用促進を図る事業の一環で県の補助を導入し、三鉄・甫嶺駅から約200㍍の距離にある旧甫嶺小学校の敷地内に陶芸窯1基を備えた「さんりく陶芸工房」を10年度に整備。同時に、施設利用の母体として三陸町陶友会が発足し、大船渡市や旧三陸町、釜石市など三鉄沿線の住民が会員となって活動してきた。
 自分たちの作品制作だけでなく、小中学生や一般向けの教室を開くなど地域貢献活動も展開。23年の東日本大震災では、工房は被災を免れたものの多くの会員が被災し、窯の温度管理などを行う焼成担当者も不在となった。その後、会員の安否確認や会員確保に向けた動きもあり、焼成担当者の後任も見つかったことで24年に活動を再開した。
 設立当初は30人を超えていた会員は震災を受けて半減。以降も年々減少していったが、震災後も教室を開催するなど、陶芸の魅力を伝えてきた。
 一方で、整備から30年近く経過した工房は老朽化が進んでいる。市は、29年策定の公共施設等総合管理計画の中で、「施設の老朽化に伴い、修繕が必要な箇所が多く発生すると考えられ、維持管理にかかる財源の確保が課題」と指摘。令和2年に策定された公共施設等個別施設計画では「施設の用途廃止や利用団体への払い下げなど、廃止に向けて検討する」としていた。
 計画策定後は「現状のサービスを維持しながら方針を検討する」との方向性のもとで陶友会の利用を許可してきたが、人口減少などに対応した行財政規模の適正化を図る「選択と集中」の取り組みの結果、市は工房の社会教育施設としての用途廃止を決めた。
 これに伴い、会としても解散を決定。今月に入り、会員たちはそれぞれ最後の作品作りのため工房に通い、長年親しんできた場との別れを惜しみながら片付けも行っている。30日(月)には作品の窯出しを行い、会としての28年間の活動に終止符を打つ。
 平成15年ごろに会員となった伊藤伊志子さん(83)=三陸町吉浜=は「解散はさみしい限りだが、旧三陸町や大船渡市のお世話になりながら体験、勉強させてもらって、交流の場にもなったことに感謝している」と話していた。