「定子先生、ありがとう」 大津医師(87)が最後の診察 歴代のスタッフら集い感謝寄せる
令和8年3月27日付 6面
大船渡市盛町の大津小児科ファミリークリニックで25日、市内で50年以上にわたり、小児科医などとして親子らに向き合ってきた大津定子医師(87)が、最後の診察を終えた。同クリニックの現役スタッフだけでなく、かつて苦楽をともにした看護師や事務職員らが集い、感謝を寄せた。
大津医師はこの日、午後に約30人の診察に臨んだ。すべてを終えた午後7時すぎ、同クリニックの前身である大津小児科や大津医院時代の看護師、事務職員らが〝サプライズ〟で診察室に入り、患者や関係者のメッセージを花束のように仕立てた記念品などを手渡した。
最初は驚いていた大津医師も、久しぶりに会う顔ぶれに表情が緩んだ。診察室には患者らからのプレゼントも並び「親にとっては耳障りなことを言ったりしてきたのに」「こそっと辞めるつもりだったのに、こんなにしてもらって」などと話し、笑顔を見せた。
大津医師は、盛町出身。県立大船渡病院に約10年間勤務した後、昭和54年に大津小児科を開業した。
自身の医院だけでなく、学校医として親子と触れ合い、子育て環境の移り変わりもつぶさに感じ取った。厳しく接する場面もあったが、アレルギー疾患やぜんそくなどで通っていた子どもが親となり、わが子を連れて訪れるケースも少なくない。
大船渡病院などで看護師として勤務していた時から大津医師を知り、最後の診察に合わせて訪れた80代の女性は「厳しい面もあったが、それは早く子どもに良くなってほしいから。心の中は優しい。『薄着で過ごす』など、家庭での過ごし方もよく指導していた。診察を終えるのは残念だが、これからは自身の健康を第一にしてほしい」と話す。
勇退の理由について、大津医師は「80歳を過ぎて、病気をもらうようになった。体力の限界」と語る。令和4年に、息子の修医師(61)が医院長となって以降、徐々に診察日数を減らしていた。
医師としては区切りをつけるが「今後は茶道をたしなみながら、たくさんある本の整理など『断捨離』をしたい」と話している。






