〝虎舞〟の縁 これからも 気仙町の仲町虎舞 釜石の尾崎青友会と交流会(別写真あり)

▲ 寄贈された二つの虎頭を使い演舞する仲町虎舞部

 陸前高田市気仙町の芸能「仲町虎舞」を継承する、なかまち「絆」の会仲町虎舞部(山﨑正之部長)は29日、同町の今泉地区コミュニティセンターで、釜石市浜町に伝わる同市指定無形民俗文化財「尾崎町虎舞」の継承団体・尾崎青友会(伊藤広矢会長)との交流会を開いた。15年前、東日本大震災で道具を失った仲町虎舞に尾崎青友会が虎頭や衣装を支援した縁から実現。仲町虎舞の源流とされる釜石虎舞の継承者らによる演舞披露や指導も通じ、「これからもこの縁を大切にしていこう」と交流継続を約束し合った。(阿部仁志)

 

尾崎青友会は釜石市指定無形民俗文化財の「尾崎町虎舞」を披露

 仲町虎舞は、気仙町今泉の仲町地区民が、昭和30年の市制施行時に祝賀会の出し物として披露したのがはじまり。釜石市で数百年の歴史があるとされる釜石虎舞がルーツで、震災前までは旧仲町町内会の青年部が継承していた。
 本県沿岸を襲った平成23年の大津波で、今泉は壊滅的被害を受け、仲町虎舞の道具も流失。地区民も避難で離れ離れになった。
 釜石虎舞継承団体の一つである尾崎青友会は、仲町虎舞の状況を知り、同年に同虎舞関係者に虎頭と衣装を寄贈。その後、仲町町内会が解散し、旧仲町地区民でつくるなかまち「絆」の会が立ち上がって、虎舞の活動を再開した。28年からは「仲町虎舞部」を設立して各地で演舞を披露している。
 虎頭の寄贈以降、尾崎青友会と仲町虎舞は交流機会のない状態が続いていた。今年で震災から15年の節目を迎えるにあたり、釜石で長年虎頭を制作している尾崎青友会OBの山田修一さん(61)から仲町虎舞部のために作った虎頭を寄贈したいという申し出があり、同部では「せっかくのご縁。演舞でも交流を」と今回の交流会を企画した。
 この日は、尾崎青友会のメンバー14人が同センターを訪問し、仲町虎舞部メンバー約10人と地域住民らが歓迎した。
 開会セレモニーのあと、尾崎青友会は屋外で尾崎町虎舞伝統の「遊び虎(矢車)」「跳虎」「笹喰み」の各演目を披露。鑑賞した住民らが、洗練された動きで表現する〝生きた虎〟の姿に大きな拍手を送った。
 次いで、山田さんが自作の「白虎頭」を贈呈。神獣の「白虎」をほうふつとさせる白と黒の模様に、陸前高田の空と海のイメージカラーの青をあしらったオリジナルの虎頭で、受け取った山﨑部長が感謝を表した。
 その後、仲町虎舞部が、白虎頭と震災後に寄贈された虎頭を使い演舞。景気のよい太鼓と笛のはやしにのって2頭の虎が華麗に舞い、尾崎町虎舞とはひと味違った明るい雰囲気で観客の目を楽しませた。
 山田さんは「白虎頭をこうして贈ることができてうれしい。末永く、大事に使ってもらいたい」と願った。
 演舞披露のあとは、仲町虎舞部メンバーが尾崎青友会による指導を受けた。震災後から仲町虎舞に参加している若者たちも積極的に練習に臨み、虎の足さばきやステップ、表情の出し方など技術を学んだ。
 伊藤会長(35)は「釜石虎舞から派生し陸前高田で育まれてきた仲町虎舞。メンバーの皆さんから『やりたい』という気持ちが伝わり、勢いがあるように感じた。これからも伝承のお手伝いをさせていただきたい」と期待。
 「絆」の会の岩渕達夫会長(72)は「きょうは本場の釜石虎舞を見させていただき、メンバー一同大変刺激になった。お互いのプラスになるよう、これからも交流を重ねていきたい」と話していた。