指令センターの共同運用開始 陸前高田市など10消防本部 盛岡拠点、住民サービス向上へ
令和8年4月2日付 7面
陸前高田市消防本部など県内10の消防本部が共同運用する「いわて消防指令センター」(センター長・田村一盛岡地区広域消防組合消防本部通信指令課長)は、1日に本格運用が始まった。県内29市町村における119番通報指令業務を共同で行い、住民サービスの向上と災害対応力の強化、行財政上の効率化を図る。スマートフォンで現場の状況をリアルタイムで情報共有する「映像119」や、国内初となる「消防・ヘリ高機能動態管理システム」なども導入し、迅速かつ効率的な消防、救急活動につなげる。(阿部仁志)
消防指令業務の共同運用は、火災、救急、救助など119番通報の受け付けや、消防・救急隊への出動指令を共同で行うもの。最新システムを使い、高度でより専門性の高い住民サービスの提供を可能とする。消防庁からの指針に基づき、全国各地で体制整備が進められている。
本県では、盛岡地区広域消防組合と奥州金ケ崎行政事務組合、北上地区消防組合の3団体による「盛岡・奥州金ケ崎・北上地区消防通信指令事務協議会」が平成25年に設置され、3エリアの消防指令業務を盛岡に集約する「岩手県央消防指令センター」の運用が28年に開始された。共同運用のさらなる広域化を図り、令和4年に陸前高田市消防本部など10団体によるいわて消防通信指令事務協議会が設置され、「いわて消防指令センター」の運用に向け協議を進めてきた。
1日に本格運用を開始した同センターは、盛岡市の盛岡中央消防署内に統括拠点を置き、高機能消防システムを導入。県内12市13町4村、国内最大規模となる管轄面積1万3294平方㌔㍍の119番通報を受け付け、災害種別や規模に応じた隊編成、出動指令などの管制オペレーションを通信指令員43人体制で行う。
センターでは、通報者の許可を得たうえ、携帯電話の位置情報などをもとに災害地点を特定するシステムを導入。新たなサービスの「映像119」では、通報者がスマートフォンなどで現場の状況を撮影して同センターと共有したり、応急手当の手本動画を受信でき、初動対応に役立てる。災害地点が特定できない場合は、地域特性を把握している管轄消防本部に「ヘルプ要求」を行い、特定する。
また、消防隊員が装備する、携帯電話のデータ通信回線を利用して全国で通話が可能な「IP無線機」や、消防車両に備わる端末装置もシステムと連携。地図上で出動隊員の位置情報を把握でき、各消防本部の管轄エリア外からの応援要請も円滑に行えるようになる。
国内初となる「消防・ヘリ高機能動態管理システム」は、盛岡地区広域消防組合消防本部が中心となり、消防庁、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構、岩手医科大学附属病院など関連機関と協力し開発。東日本大震災の教訓を踏まえた消防とヘリの高度な情報連携を実現し、▽出動要請の効率化▽動態情報の一元化▽大規模災害時の防災力向上──につなげる。
このほか、低軌道衛星回線「Starlink(スターリンク)」を活用した消防指令・無線ネットワーク導入も国内初の試み。地上の通信インフラが使えない状態でも通信を確保し、「通信の孤立」を防ぐ。
同協議会によると、システム整備にあたっては、国の財政支援である緊急防災・減災事業債を活用。構成自治体の実質的な負担軽減につなげた。
119番通報の受信件数は令和6年で一日約200件で、今後も同様の件数を想定する。
同日は、盛岡中央消防署で同センターの報道公開が行われ、メディア13社が出席。概要を説明したうえ、統括拠点の公開や、「映像119」のデモンストレーションを行った。
田村センター長は「県の面積の87%を管轄していく新たな試み。119番通報の方法はこれまでと変わらないこと、また、『映像119』などの周知も図っていきたい」と語った。7日(火)は、同署でセンター開所式が行われる。
県内12ある消防本部のうち、大船渡地区消防組合は今回の共同運用参加を見送った。同組合では理由について「現状でランニングコストが見合わないため」としている。
同センターを共同運用する消防本部次の通り。
花巻市消防本部、遠野市消防本部、陸前高田市消防本部、盛岡地区広域消防組合、宮古地区広域行政組合、釜石大槌地区行政事務組合、奥州金ケ崎行政事務組合、北上地区消防組合、二戸地区広域行政事務組合、久慈広域連合






