捕獲用の箱わな増強、県アプリとの連動…クマ対策の強化図る 鳥獣被害対策実施隊にも高まる期待
令和8年4月3日付 1面
昨年、人里へのクマ出没が相次いだ中、気仙でも各市町単位で組織されている鳥獣被害対策実施隊員への期待や関心が高まっている。大船渡市では2日、市による隊員への委嘱状交付が行われ、安全確保や農林業への被害防止に理解と協力を求めた。市は今年、クマ捕獲用の箱わなを新たに2基導入し、県が提供を開始したクマ出没情報を投稿・共有できるアプリ「Bears(ベアーズ)」との連動方針も定め、前年度以上に対策を強化する。(佐藤 壮)
「昨年度は、これまで経験のないほどのクマの大量出没があり、市民からの通報も多数寄せられた。従来までの山林や農地での農林被害対策に加え、ヒトの日常生活圏での安全確保など、新たな課題として対策を強化しなければならない」
盛町のシーパル大船渡で開かれた、実施隊員への委嘱状交付式。渕上清市長はこう述べ、安全に配慮したうえでの被害防止策に協力を求めた。本年度の隊員は54人体制で、前年度比4人減。新規に5人が入り、9人が死去や銃を手放すなどして抜けたという。
同隊の任期は1年で、本年度も、ニホンジカやツキノワグマ、イノシシなどの有害捕獲やパトロールに取り組む。市によると、7年度のクマ出没件数は164件で、前年度比50件増。捕獲数も同4頭多い18頭だった。
捕獲のうち、1頭は県内では3例目となる緊急銃猟によるもの。この他は箱わなか、シカのくくりわなで動けなくなっていたものを捕獲し、全てに鳥獣被害対策実施隊員が関わった。さらに、昨年3月〜今年2月にはシカ1247頭、イノシシ26頭の捕獲も行った。
隊員を代表して委嘱状の交付を受けた大船渡猟友会長の佐藤武さん(66)=日頃市町=は「クマへの段取りも十分にしているつもりだが、隊員が単独で対応できるものではない。今後も打ち合わせを重ね、しっかりと対応していきたい」と話していた。
市は本年度も、鳥獣被害対策実施隊員に協力を求めながら、被害防止策を進める。昨年12月に可決された一般会計補正予算を財源とし、新たにクマ用の箱わな2基を導入。これまでのクマ用3基、クマ・イノシシ用2基に追加する形で活用し、目撃が多い地域での設置を見据える。
県は先月24日から、クマ出没情報共有アプリ「ベアーズ」を提供。LINE(ライン)の県公式アカウント(別掲QRコード)から利用できる。クマの出没情報を投稿できる機能がある中、市は今月2日までに投稿方針を定めた。
地域住民から市や警察に電話通報があった場合、従来の防災行政無線(地区単位)や市公式ライン、実施隊クマ班への追い払い依頼などを行ってきたが、今月からは新たに市としてベアーズに投稿。ベアーズ内にある「クマはどこ?」ボタンを押すと、地図上や一覧から出没状況を確認できるようになる。
ベアーズでは、一般住民をはじめ個人の目撃者も投稿が可能。市農林課では「直接ベアーズに投稿するだけでは、市は詳細を把握できず、参考情報として扱うため市としての対応が行われない。投稿後に必ず市に電話で通報するか、従来通り目撃したら市や警察に通報してほしい」とする。
現在、県内全域に「ツキノワグマの出没に関する注意報」が出ている。クマが冬眠から目覚め、人里に出没する可能性が高くなり、各自治体では注意を呼びかけている。






