森林資源活用の2本柱展開 J─クレジット1283㌧販売 企業の森330人参加 7年度実績 収益を再造林費に充当
令和8年4月5日付 7面
陸前高田市は豊富な森林資源を生かし、市有林J─クレジットの販売と、「企業等による森づくり制度(企業の森制度)」の運用に力を入れている。令和7年度は、延べ30事業者に同クレジットを販売し、数量は1283㌧、金額は1925万円。民間企業などが市有林で森林保全活動を行う同制度には、大手コンビニチェーンや外食大手など計9企業・団体の約330人が参加。この2本柱の事業で得られる収益は再造林費などに充て、豊かな森づくりのサイクル加速につなげる。森をきっかけとした官民の関係性構築も図られているといい、8年度も林業振興策の両輪としてPRしていく。(高橋 信)

企業の森制度参加企業の社員が下刈りを体験
J─クレジットは、森林の適切な管理を行うことで生じる二酸化炭素(CO2)吸収量をクレジットとして国が認証する制度。事業者は、企業活動で排出されたCO2量に相当するクレジットを購入することで、オフセット(埋め合わせ)できるメリットがある。
市は、気仙町内における市有林約560㌶のCO2吸収量年間約3000㌧についてクレジット認証を受け、昨年2月、1㌧当たり1万5000円(税込み)で販売を始めた。
7年度の購入事業者と販売実績を所在地別にみると、市内が延べ7事業者、計69㌧(104万円)、市外が延べ19事業者、計601㌧(902万円)、非公表が延べ4事業者、計613㌧(919万円)だった。
6年度は2カ月の販売期間で延べ3事業者に計150㌧を売り、7年度分を合わせた販売累計は1433㌧、2150万円に達した。
市は5年、資源循環などに取り組む公益財団法人Save Earth Foundation(セーブ・アース・ファンデーション、略称SEF、渡邉美樹代表理事)、ワタミエナジー㈱(山﨑輝代表取締役)と森林資源活用に関する連携協定を締結した。
クレジット購入に県外からも手が挙がる背景に、SEFによる加盟企業のネットワークを生かしたPR、森林保全の普及啓発があるという。加えて市は昨年11月から地銀との連携にも乗り出し、以降、地元企業などの購入も相次いだ。
企業の森制度は、市が企業に社員研修やレクリエーション活動の場などとして市有林を提供し、社員が保全活動などを通じて森づくりの意義を学ぶ仕組み。6年9月に創設し、同年度に㈱ニッスイ、㈱ローソン、ワタミ㈱など7企業、7年度に学校法人郁文館夢学園、TOPPANエッジ㈱の2企業・団体と締結した。
7年度は各企業・団体が延べ17回、約330人が参加し、市有林の下刈りや枝打ちなどを実施。森林作業だけでなく、水産業の現場視察や震災学習など同市ならではの体験プログラムが組まれ、交流人口増、企業と地域との継続的な関係性構築につながっている。
協定締結期間は3年間で、企業からは年間50万円の協賛金が市に支払われる。市は森林クレジットの売り上げと一緒に協賛金を基金に積み立て、再造林や地域材利用の促進などの経費に充てる。
市農林課林政係の蒲生夏生林政係長は「事業は豊かな森林資源があるからこそ展開できており、森を育んできた先人たちの地道な取り組みに感謝している。貴重な財源を私有林における再造林支援などに活用しており、市内の他の森林に還元する好循環をこれからも生み出していきたい」と見据える。






