数量1万㌧台に落ち込む 市魚市場7年度水揚げ実績 主力の定置網など振るわず

▲ 定置網などが振るわず水揚げ数量が1万㌧台にまで落ち込んだ市魚市場

 大船渡市大船渡町の市魚市場を運営する大船渡魚市場㈱(千葉隆美社長)は、令和7年度水揚げ実績をまとめた。数量は前年度比34%減の1万7504㌧、金額(税込み)は同24・7%減の50億4919万円。全国的に水揚げが増加したサンマは前年度を上回り、回復の兆しを見せたものの、前浜の定置網は漁況が振るわず、数量、金額ともに前年度から大幅減の苦しい状況となった。(菅野弘大)

 

 同社の統計によると、魚種別実績のうち、サンマの数量は前年度比48・7%増の8437㌧。漁期序盤から公海漁場で大ぶりな魚体の漁獲が相次いだほか、後半には三陸沖から常磐沖にかけて漁場が形成されたことで、大船渡以南の主要港でも水揚げが急増し、令和最多の8000㌧台に到達した。金額は同6・5%減の26億675万円となったが、魚市場全体の水揚げの約半分を占め、数量は気仙沼(宮城)に本州一の座を譲ったものの、金額は14年連続で本州トップを維持した。
 大船渡を象徴するサンマが伸びた一方、日曜日を中心に受け入れた巻き網、一本釣りのカツオは全国的に水揚げが落ち込み、大船渡への初水揚げは例年より1カ月以上遅く、数量は同83・7%減の266㌧、金額は同81・5%減の1億1553万円と大幅に下回った。
 マイワシは、漁獲が急増した前年度から状況が一転し、数量は同86・1%減の1344㌧、金額は同76・5%減の1億5345万円と大幅に減少。定置網や火光利用敷網による漁獲が少なかった。サバは数量が同43・8%減の2325㌧、金額が同31・4%減の4億1890万円、ブリ類は数量が同32・8%減の1090㌧、金額が同25・1%減の3億1034万円と、いずれも減少傾向にあり、魚市場を支える主力魚種の落ち込みに関係者は不安を募らせる。過去最低を更新し続ける秋サケも回復の見込みは薄く、主力魚種として計算できないほど壊滅的な状況となっている。
 このほか、タイ類やカレイ類が前年度を上回った。スルメは数量が微減となったものの、魚体組成の良さから単価高となり、金額は前年度を45・4%上回った。
 漁業種別にみると、前浜の定置網は数量が同54・9%減の5463㌧、金額は同18・4%減の15億3349万円と振るわず。年度をまたいだ船曳網のイサダや鮪鮫はえ縄、刺網は前年度を上回った。
 ピーク時には7万6000㌧もの実績を上げていた大船渡市魚市場。東日本大震災発生後の平成23年度は数量3万㌧台、金額も38億円台まで落ち込んだが、施設の復旧が進み、26年度は数量が5万㌧台、金額が70億円台と震災前の水準にまで回復した。
 しかし、27年度以降は主力魚種の不漁に陥り、令和3年度から6年度まで2万㌧台と低迷。7年度はついに1万㌧台にまで落ち込んだ。
 7年度は、急潮の被害を受けて復旧作業が進められていた吉浜漁協の定置網2カ統が水揚げを再開したほか、大規模林野火災で2カ統の定置網が焼損した綾里漁協では、同業者らから借り受けた網で操業を開始するなど、自然の猛威を乗り越えてなりわいを再生。一方で、不慮の事故によって網が被害を受け、予定より早く漁を切り上げた漁場もあり、早期の復旧、再開が待たれる。
 同社の佐藤光男専務は「数量的には大幅減で、サバやイワシ、ブリ類が悪くなっている。イカ釣りは三陸沖は漁況に恵まれず、全国的な漁獲増加の中で〝一人負け〟した状況だった。商材となる魚が取れないと何も始まらない。量が取れること、漁獲が復活することを願う」と話している。