秋サケ不漁で魚種転換加速 漁獲量は3年連続で最低更新 県内 官民一体の取り組み推進が鍵

▲ 盛川漁協では本年度、ふ化場を活用して2魚種の育成を見据える(昨年11月)

 本県における令和7年度の秋サケ漁獲量は、沿岸漁獲と河川捕獲合わせて42・5㌧(前年度比63・7%減)で、3年連続で過去最低を更新した。大船渡市魚市場への水揚げは0・4㌧と、前年度の30%に満たず。各河川での採卵は、県外からの移入卵を含めても計画対比15・1%に終わり、稚魚の生産・放流も厳しさを増す。県内では今後、大不漁の秋サケから魚種転換する動きがさらに加速していくとみられるが、漁協や民間企業に加え、行政も一体となった取り組みの推進が鍵となりそうだ。 (菅野弘大)

 

 県農林水産部水産振興課がまとめた7年度最終版(2月28日現在)の秋サケ漁獲速報によると、県全体の沿岸・河川累計捕獲数は1万6743匹で、前年度比61・1%減で過去最低を更新。大船渡市魚市場への水揚げ数も同72・1%減の199匹と大幅に落ち込んだ。
 定置網など、県沿岸の累計漁獲数は7335匹(重量18・63㌧)で、同66・5%減。県内の魚市場別漁獲数の割合も、全県的に軒並み低迷しており、13市場のうち大船渡は6番目に低い27・9%だった。
 県全体の河川捕獲数も9302匹(23・85㌧)で、前年度の半分以下と低調だった。
 気仙での河川捕獲数の累計は、吉浜川が16匹(メス5匹、オス11匹)、綾里川が33匹(メス20匹、オス13匹)、気仙川が1668匹(メス654匹、オス1014匹)。捕獲したメスから採卵し、受精させた卵は、気仙の拠点ふ化場となっている陸前高田市の広田湾漁協の施設に移して管理、育成している。
 採卵数は県全体で807万7000粒で、北海道からの移入分を含めても1334万4000粒と、計画のわずか15%にとどまった。気仙の実績は、吉浜川が5000粒、気仙川が151万粒。盛川は、昨年10月の大雨による川の増水で親魚捕獲施設が破損被害を受けたため、捕獲、採卵はともにゼロとなり、移入分を含めても3河川合わせて280万粒と、地区の計画採卵数1740万粒の16%に終わった。盛川漁協は本年度、施設を復旧させ、捕獲と採卵を行う計画。
 本県の主力魚種として一時代を築いた秋サケ。しかし、近年はさまざまな要因が絡む中で〝大不漁〟といわざるを得ないほど漁獲が低迷し、サケのふ化、増殖事業を柱としてきた漁協における組織経営も苦しさを増す。
 こうした状況下、県内では水産大手の民間企業などと連携して、代替魚種の育成やふ化場の有効活用に取り組む漁協も増加。漁協と企業、そこに行政も加わることで、すでに実績を出している地域もあり、官民一体で魚種転換に取り組むことが重要となりそうだ。
 水産庁でも「さけ定置合理化等実証事業」として、漁協などが行う養殖転換の調査、検証の取り組みを補助する体制を整えるなどして後押し。気仙両市では、㈱ニッスイと漁協によるサーモンの海面養殖(試験も含む)が展開されているほか、盛川漁協では陸上養殖による「大船渡サーモン」の生産、ふ化場におけるトラウトサーモンの稚魚育成に取り組み、秋サケに代わる魚種の研究を進める。
 盛川漁協の佐藤由也組合長は、何年も前から秋サケの不漁や漁協経営の存続危機を見据えて、関係機関などに訴え続けてきた。「秋サケがこの状況であれば、いずれやめるときが来るのではないか。不漁を受け、秋サケに代わる魚種の育成やそれに伴う補助制度など、今後の方向性が見えてきたことは良かった。淡水で育成できる魚種は限られるが、やはり、新しいことはすぐに取り組むべきだ」と話す。