2年連続で1億円突破 7年度企業版ふるさと納税寄付 大規模林野火災支援の受け皿に

▲ 企業版ふるさと納税寄付に合わせ、アンバサダーに委嘱した事業者にステッカーなどを贈呈。寄付後のつながり継続にも力を入れている

 大船渡市に対する令和7年度の企業版ふるさと納税寄付は1億1578万円となり、前年度に続き1億円の大台を突破した。7年度も大半が大規模林野火災の復旧・復興を目的としたもので、企業支援の受け皿となった。県外からの申し出も多い中、今後は寄付を通じてつながった企業との連携や情報発信といった波及効果に加え、大規模林野火災以外の支援につながる寄付の充実促進への取り組みも注目される。(佐藤 壮)

 

 企業版ふるさと納税は、平成28年度に創設。令和2年度の改正で、国が認定した自治体の地方創生プロジェクトに対して市外に本社がある企業が寄付を行う場合、最大で寄付額の約9割が法人関係税の軽減につながる仕組みになった。
 市によると、7年度は68事業者から73件の寄付があり、総額は1億1577万6038円。このうち、大規模林野火災の復旧・復興を目的とした寄付は62件、1億481万4238円で、件数では全体の85%、金額では90%を占めた。
 大規模林野火災は昨年2月26日に発生。令和6年度は延焼や住民の避難生活が続いた2月末~3月を中心に78件の寄付があり、総額は1億4648万8900円だった。
 7年度実績は6年度を下回ったが、5年度と4年度は現金寄付が1000万円に届いていないほか、県内自治体で年間1億円を超える実績は珍しいという。市外からの林野火災支援の受け皿として機能した。
 市はこれまで、現金の受け入れだけでなく、企業代表者と市幹部職員が対面する機会づくりにも力を入れてきた。寄付を申し出た事業所の多くが、市ふるさと企業アンバサダーの委嘱を受けている。
 企業アンバサダーには、各企業の業務、広報活動などを通じ、大船渡の魅力を発信する役割が期待される。委嘱を受けた企業には盾やステッカーを贈呈し、応接室などに置いてもらうことで、来訪者との懇談で大船渡の話題になるといった効果があるという。
 また、寄付贈呈の際には、林野火災の被災状況をまとめた資料を配布し、応対した職員らが概要を説明。瞬く間に広がった延焼や長期に及んだ避難生活、懸命の消火活動などを伝えるとともに、これまでの活動で見えてきた教訓や、今後の課題などを明かす。企業側が大規模林野火災の実態に理解を深める時間づくりも重視してきた。
 今月9、10日にも、7年度に寄付した県外企業に対して委嘱状を交付。渕上清市長は「火災の影響を受けた多様な方々の生活となりわい再建、地域の復旧・復興に向けて一丸となって取り組んでいるが、企業の皆さんとのパートナーシップは欠かせない」と述べた。
 市は寄付金を基金に回すなどして、息の長い事業につなげる方針。大規模林野火災から1年が経過し、8年度以降の復旧・復興に対する支援は減少が予想される。
 一方、被災した森林再生事業は本年度から本格化し、市は所有者の負担軽減策を進める中、独自予算確保が課題。復旧・復興に生かされる寄付であることを訴える重要性は変わらない。
 また、これまで寄付した事業者とつながりを継続し、新たな産業振興や地域課題解決の取り組みなどが生まれるかも注目される。これまでの寄付は、金融機関からの紹介で知った企業も目立ち、制度自体に関する情報発信も引き続き求められる。
 企業版ふるさと納税は、大規模林野火災にとどまらず、観光や子育て分野などの各事業でも支援を受け付けている。人口減少が進み地域課題が多様化し、財政環境も厳しさを増す中、これまで以上に積極的な制度周知や協力の呼びかけが鍵になりそうだ。