道路、河川、公園の維持業務を一括発注 官民連携でインフラ管理 市が「包括的民間委託」導入
令和8年4月14日付 1面
陸前高田市は本年度、道路や河川、公園などのインフラ施設・設備の維持管理業務を一括して発注する「包括的民間委託」を導入した。民間事業者に個別に委託していた業務をまとめて発注することで、点検から補修までの一連の対応の迅速化が期待される仕組み。市側は業務負担軽減、新たな行政サービスの検討・提供、事業者側は業務量確保、マネジメント力・技術力向上など双方にメリットがあるといい、人口減、担い手不足が進む中、官民連携の新たな手法で、市民の仕事や暮らしに不可欠な地域インフラを守っていく。(高橋 信)
包括的民間委託を受けたのは、官民連携の運営支援に精通する大手建設コンサルタント会社の㈱オリエンタルコンサルタンツ(本社・東京)と、同市の㈱長谷川建設(長谷川順一代表取締役社長)による共同企業体(JV)。
管理するのは、道路、河川、公園、東日本大震災遺構など。▽道路の損傷▽側溝の土砂堆積▽道路の動物死骸▽道路への倒木▽街路灯の故障▽草刈り▽除雪──など、これまで市が受け付けていた市民からの苦情・要望などの連絡窓口を、同
JVが担う。
現場作業は、主に市建設業協会の加盟社が手がける。公園の除草、植木せん定、トイレ清掃など一部作業は市シルバー人材センターが請け負う。
従来は、市が作業内容ごとに事業者に単年度で委託していたが、包括的民間委託は複数年契約で一括して実施するため、事業者側にとって安定した仕事量の確保につながる。民間がじかに通報を受けることで、早期着手も期待される。
また、個別発注の場合、市が設定した詳細な要件を満たす作業が前提だったが、包括的民間委託は品質や水準を満たしていれば、従来の手法にとらわれずに施工できる。これにより事業者が持つ技術やノウハウを生かした業務の効率化、コスト削減が見込めるという。
市側にとってもメリットが大きい。市に寄せられた道路・河川関連の通報は令和7年度、少なくとも220件に上り、工事発注数は100件を超えた。担当課の土木技術職が限られる中、現場の確認や事務手続きに追われ、業務負担軽減が課題となっていた。
こうしたインフラ維持管理にかかる業務サイクルを改善しようと、市は数年前から民間との新たな連携を模索。包括的民間委託を取り入れることで業務量が軽くなる分、市は交通環境の充実に向けたソフト対策をはじめ、新たな市民サービスの検討などに取り組む。
同委託の契約期間は令和9年度末までで、2カ年の総事業費は3億6080万円。8年度末に市民や事業者
向けにアンケート調査を行い、導入の成果と課題を探る。
市建設部の菅野誠部長は「新たな試みであり、浸透・定着には時間を要する可能性があるが、この仕組みを早期に確立させることが住民サービスの向上、効率的なインフラの維持管理につながる。引き続き事業者と連携しながら展開し、持続的なまちづくりにつなげていきたい」と見据える。

通報は、JVへの電話(22・9947)やインターネット専用フォーム(別掲QRコード)で受け付けている。市公式ラインにもフォームにアクセスできるアイコンを設けている。夜間や休日も連絡可能。
包括管理のイメージは別掲。問い合わせは、市建設課道路河川係(℡54・2111内線442)へ。






