イノシシ被害 今年も 農作物荒らされ住民苦慮

▲ 平さん方の畑を荒らしていたとみられるイノシシ(15日撮影)

 近年、拡大しているイノシシによる農業被害。住田町世田米ではすでに、3月ごろから農作物が荒らされる被害が出ている。住民が対応に苦慮する中、町は鳥獣被害防止計画に基づき、被害防止に取り組んでいる。
 「せっかく育てても、ほとんど掘り返されてしまう」──。世田米の平勝太郎さん(84)方では、今年3月初めごろからイノシシによる被害が確認され、自身の畑で育てていたミョウガやナガイモを根こそぎ掘り返された。
 平さんから被害情報が寄せられたのを受け、町が3月末に箱わなを設置したところ、今月14日未明に成獣2頭がわなにかかった。
 50年ほど前から自宅近くで農作物を育てている平さん。イノシシによる農作物被害はここ2~3年で一気に増加したという。「動物も生きていくためにしたことだろうが、精魂込めて育てた農作物がだめになると悲しい。負けないでやろうとは思っているが……」と被害に気をもむ。
 県環境生活部によると、全県のイノシシ捕獲頭数は、平成25~29年度は30~90頭台で推移していたが、30年度に243頭と急増し、その後も増加。これに伴い、農業被害額も拡大し、農家への影響は甚大なものとなっている。
 イノシシの捕獲実績がある県内の自治体は、平成28年度は県南エリア中心に8市町だったが、30年度には沿岸、盛岡、県北でも増え始め、今ではほぼ全域に広がっている。
 住田町によると、町内でのイノシシ出没は令和4年度から急増。生息の形跡は平成26年度から確認されており、令和3年度に初めて被害が出た。
 同年度は軽微な被害だったが、4年度の被害額は稲や野菜、芋類合わせて73万円ほどに。被害額は5年度に約270万円、6年度に約460万円と急拡大している。7年度分は集計作業中だが、6年度に近い被害額になると見込まれている。
 町は、田畑への侵入を最小限に抑えることが重要との認識から、防護柵などの整備・点検といった防除対策を今後も継続していくとともに、積極的な捕獲で生息域拡大も防いでいく方針だ。(清水辰彦)