気仙産和牛子牛 高値続く 4月期市場の平均価格80万円強 前年同期比で27万円高に

▲ 気仙で生産されている和牛子牛=大船渡市三陸町吉浜

 大船渡市農業協同組合(猪股岩夫代表理事組合長、JAおおふなと)管内で生産される和牛子牛は、高値が続いている。14日に奥州市のJA全農いわて県南家畜市場で開かれた令和8年4月期の市場では、税込みの平均価格が80万円強となり、前年同期比で27万円高。生産者の高齢化などが進む中、十数年ぶりの高値に関係者らは「今後も良質な子牛を出荷していきたい」と気持ちを新たにする。
 和牛子牛市場は、生後10カ月の子牛が対象。オスは5カ月で去勢後に食肉用として、メスは食肉や繁殖用として出荷される。
 県内で和牛子牛市場を設けているのは、県南と雫石町のJA全農いわて中央家畜市場。県南では、市農協管内(気仙)のほか、胆江、磐井が対象地域となっており、今年3月までは毎月、気仙・胆江と磐井で1日ずつ計2日間開催していた。
 しかし、近年は生産者の減少や高齢化等を背景に、参加頭数が減少。近隣県市場と日程が重複していることなども鑑み、県南は今月から3地域を1日に集約して行うこととなった。
 集約後の初回となった14日は、3地域からメス198頭、オス(去勢)250頭の計448頭が取引された。税込みの販売金額は3億8375万2600円で、1頭当たりの平均価格は85万6591円。最高価格は132万6600円、最低価格は49万8300円となり、最高は県南の史上最高額を記録した。
 気仙は、大船渡、高田、住田の3地区を合わせてメス6頭、オス3頭の計9頭が参加。全体の販売額は723万8000円、価格は平均が80万4222円で、最高は101万2000円、最低は70万5100円。
 地区別の全体販売額と平均価格は、大船渡がメス3頭で総額229万1300円、平均76万3767円。高田がオス2頭で総額187万2200円、平均93万6100円。住田はメス3頭、オス1頭で総額307万4500円、平均76万8625円。
 和牛子牛市場は、年末年始で需要が高まる12月から1月に価格が上がり、3月以降は徐々に低下していくとされる。しかし、気仙では今年、3、4月も高値を維持している。
 市農協の気仙地方和牛改良組合長を務める横石善則さん(77)=大船渡市三陸町吉浜=は、繁殖用を含む和牛10頭を飼育し、14日の市場にも参加。現状について、「東日本大震災後の平成24年ごろにも1頭100万円台を記録したことがあり、それ以来の高値ではないか。当時と違うのは、最高価格と最低価格の差が縮まっていること。気仙全体で価格が上がり、最高額になったのではないか」と分析する。
 さらに、「価格が上がっているのは、生産者の高齢化が進み、規模も縮小されるなど、生産数が少なくなってきたから」と指摘。イノシシやシカによる飼料への被害といった課題も挙げ、「今後、急に値が下がる可能性もある。生産者としては、いいものを作るように心がけていかないと、安くなったときに困る。価格がいいときこそ、より生産に力を入れるとき」と気を引き締める。
 市農協営農部は「生産者の高齢化などに伴う頭数の減少も高値の要因だが、試行錯誤を重ねながら良質な子牛作りに取り組む生産者の努力も大きい。農協としても、生産にかかる費用や労力などの部分で手助けをしていきたい」としている。