「沿岸の新たな目玉に」 三陸ブルーイングカンパニー 念願の自社醸造酒提供開始(別写真あり)
令和8年4月19日付 6面
三陸沿岸の原料を使ったクラフトビール「三陸ビール」の製造・販売などを手がける大船渡市の「三陸ブルーイング・カンパニー合同会社」(南忠佑代表)は17日、自社で醸造した発泡酒の提供をスタートさせた。これまでは委託醸造でビールを製造してきたが、念願の自社醸造品の提供を迎え、南代表(48)は「沿岸、気仙の新たな目玉にしていきたい」と意気込む。(清水辰彦)
同日は醸造所で「開栓セレモニー」が開かれ、渕上清市長や㈱キャッセン大船渡の田村滿代表取締役、大船渡商工会議所の齊藤光夫専務をはじめ、市、同会議所から関係者ら約10人が出席。
渕上市長や齊藤専務、田村代表取締役が祝辞を述べ、同社のさらなる発展と市街地活性化へ期待を込めた。
南代表は会社設立から現在までを振り返りながら、「大船渡の土地の魅力、人の魅力があって、ここに携わっていきたいという思いが原動力になった。今後も醸造レベルを上げて、三陸、大船渡を発信していく役割を担いたい」と思いの丈を語った。
同社は平成30年設立。委託醸造で三陸の素材を使ったビールの製造を行い、三陸沿岸を中心に盛岡市や宮城県仙台市、首都圏へ販路を広げてきた。
三陸沿岸のさまざまな原料に魅力を感じたという南代表。会社設立後は東京都内で会社員として働く傍らで、醸造所に通うなどして勉強を重ねた。
会社設立当初から、「いつか大船渡に醸造所を」という思いを持っており、昨年12月、「キャッセン大船渡」内に醸造所を開業。先行してタップルーム(飲食スペース)をオープンさせた。
今年3月、大船渡税務署から「発泡酒製造免許」が交付されたことで、自社醸造が可能となった。委託醸造先がビール製造免許を有しているため、これまでの同社の商品は「ビール」に分類されてきたが、自社醸造開始にあたっては副原料を調整し、まずは「発泡酒」を販売していく。その後、徐々に製造量を増やしていきながら、将来的にはビール製造免許を取得したい考えだ。
同月12日には初の仕込みを行い、スタッフたちが休む間もなく衛生面や温度、発酵状態などを管理。今回完成した発泡酒は、ベルギー発祥で、フルーティーな香りと清涼感のある味わいが特徴の「ベルジャンホワイト」(白ビール)をベースとする「週末のうみねこ」、宮城県登米市産のブランド米「だて正夢」を使用した「伊達男IPA」の2種類。沿岸での醸造を意味する「Coastal Brewing」シリーズとして提供していく。同シリーズは今後もラインアップを増やしていく予定だ。
南代表は「設備の操作に慣れるのにも時間がかかったし、設備トラブルもあって苦戦した。改めてビール造りは難しいと感じた」と苦労を語りつつも、「未熟な部分はあるが、いっそうおいしいビールを造っていけるという可能性も感じている。現状に満足せず、もっとおいしくしていきたい。沿岸の生産者さんともつながって、より魅力を発信できるビールを造っていければ」と意欲を燃やしている。






