気仙 警戒下で日常戻る M7・7三陸沖地震から一夜 浜では津波の影響確認も

▲ 後発地震注意情報発表を受け、陸前高田市は市コミュニティホールに自主避難所を開設

 三陸沖を震源とする大地震と、これに伴う津波警報の発表から一夜明けた21日、気仙は「北海道・三陸沖後発地震注意情報」発表下で今後の地震への警戒を要しながらも、大きな混乱なく日常の市民生活や経済活動が戻った。20日夜に大船渡で最大波20㌢の津波が観測されており、海上では漁業者らによるカキなど養殖施設への影響確認も行われ、今後、被害状況が明らかになっていくものとみられる。このほか、人的・物的ともに大きな被害は確認されていない。

 

 地震は20日午後4時52分ごろに発生。震源は三陸沖、宮古の東100㌔付近で、深さは19㌔。地震の規模を示すマグニチュード(M)は7・7。
 北海道から近畿地方の広範囲で揺れがあり、青森県階上町で最大震度5強、大船渡市と住田町で震度4、陸前高田市で震度3を観測。県内では、内陸の北部と南部で長周期地震動(大きな地震で生じる周期が長い大きな揺れ)階級2を、沿岸の北部と南部で同階級1を確認した。
 気象庁は同4時56分、本県沿岸と北海道太平洋沿岸中部に津波警報を発表。同5時8分には青森県太平洋沿岸部を追加した。
 北海道から福島県の太平洋沿岸で津波が観測され、大船渡港では同5時21分に第1波が到達。同5時28分に最大波20㌢の津波を記録した。最も高かったのは久慈港で、同5時34分に確認された80㌢だった。
 津波警報は同8時15分に注意報に切り替わり、同11時45分に解除された。
 気象庁と内閣府は同7時30分、本県を含む太平洋沿岸の7道県に「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表。新たな大規模地震が発生する可能性が平常時と比べて相対的に高まっているとして、備えを徹底するよう呼びかけている。

 

気仙両市で900人余避難

 

 大船渡市危機防災対策課によると、避難者数のピークは20日午後8時。指定避難所13カ所のほか、大船渡北小学校とB&G海洋センターに合わせて369人が避難した。
 市内の国道45号では、大船渡町の県交通国道下平バス停付近から盛町の大船渡警察署前の通行が規制され、猪川町の県合同庁舎前交差点から大船渡町方向への国道直進も制限。帰宅時間と重なって長い車列ができた。大船渡署では規制について「署内会議や三陸国道事務所との兼ね合いによるもので現場判断」としている。
 21日午後5時現在、人的・建物被害の報告は入っていない。
 陸前高田市によると、同日午後5時現在、人的・建物被害の報告は入っていない。避難所は自主的に設けられたものを含めて22カ所に開設され、最大で542人が身を寄せた。
 後発地震注意情報発表を受け、市は災害警戒本部を廃止せずに情報収集などに当たっており、市コミュニティホールには27日(月)午後5時まで自主避難所を開設。和室に簡易パーティション、毛布などを置き、夜間、休日は避難者の受け付けや見守り対応などのため、市職員を配置して対応する。

 

 

大船渡湾内の養殖施設の状況を確認する漁船

漁業者ら船繰り出し状況調査

 

 

 大船渡市大船渡町の下船渡漁港では早朝から漁業者らが船を出し、大船渡湾内のカキ養殖施設などの状況を確認。湾内には大きな被害は確認されず、海上で作業を行う姿が見られた。
 大船渡養殖組合の中島達也組合長(61)は「施設を見てきたが、大丈夫そうだ。これだけ津波が来ると、こちらも疲れてしまうし、自然相手のことは何ともならない。被害が出ないことを願うしかない」と話した。
 21日の朝は雨が降り、風や波があったため、出船を控える漁業者も多かった。市漁協や綾里漁協では、海況が落ち着いてから沖にあるワカメ養殖施設の状況を確認することとしている。
 陸前高田市の広田湾漁協によると、同日午前9時30分時点で小友支所管内のカキ養殖いかだでアンカーロープが1本切れたという報告があった。ほかに大きな被害は確認されていない。

学校や公共交通は通常通り

 両市内の学校は21日、通常通り授業を実施。20日の警報発令中、学校では部活動などで在校中だった生徒を待機させるなどした。大船渡市内では、JR大船渡線BRTで帰路に就いていた高校生らが乗務員の指示に従って市指定の第1避難場所へ向かい、安全を確保したケースもあった。保育施設から高台の公共施設に避難する動きも見られた。
 県交通バスとBRT大船渡線は、21日の始発便から運行。三陸鉄道は同日午後0時15分に下り線、同0時30分に上り線で運行を再開したが、強風の影響から徐行運転などを行った。
 同日午後5時現在で、警察、消防、海上保安庁に地震や津波に関する気仙の被害報告は入っていない。一方、県警察本部では「家族構成を聞き出そうとするなどの詐欺電話が発生する恐れもある」として、注意を呼びかけている。