「飛鳥Ⅲ」待望の初入港 大船渡港・野々田埠頭で歓迎多彩に 昨年8月の中止乗り越え(別写真あり)
令和8年4月23日付 1面
大船渡市の大船渡港に22日、昨年7月に就航した郵船クルーズ㈱(本社・神奈川県)の大型客船「飛鳥Ⅲ」(5万2200㌧)が初入港を果たした。同年8月にも計画されていたが、台風の影響でツアー自体が中止となり、港湾関係者や客船ファンが心待ちにしてきた。今月20日に出た津波警報にも気をもんだが、優雅な白い船体が予定通り湾内に入り、大規模林野火災の復旧・復興へと進む地域を元気づけた。(6面に関連記事、佐藤 壮)

接岸した野々田埠頭では市民らが『御祝い』で歓迎
午前7時前、晴天が広がった大船渡湾内に「飛鳥Ⅲ」が初めて姿を見せた。朝日を浴びて輝く白い船体は、島々や養殖棚が並ぶ景観を楽しむかのようにゆっくりと航行した。
野々田埠頭では、遠藤和子踊り教室や市内事業所、各種団体の関係者ら約70人が並び、大船渡ならではの歓迎の舞として定着している『御祝い』を披露。訪れた地域住民らは歓迎の小旗を振り、デッキから出た乗船客と笑顔を交わした。
歓迎セレモニーでは、渕上清市長が「待ちに待った初寄港。お迎えできることを光栄に思う。大規模林野火災の復興に向け、力強い後押しになる。乗船客の皆さんが、豊かな自然や海の幸に触れ、忘れられない素晴らしい思い出になることを願う」とあいさつ。
市は初寄港に合わせ、市章や飛鳥のブランドロゴを用いた記念盾に加え、初寄港を記念する大漁旗を用意。受け取った同船の小久江尚船長は「はじめまして『飛鳥Ⅲ』です」と声を上げた。
そのうえで「昨年8月に来る予定だったが、台風と〝手つなぎ〟して航行する形となるため、断腸の思いで中止した。飛鳥クルーズと市、市民の皆さんとは強い絆があり、われわれも大規模林野火災で心が痛んだ。今後も『飛鳥Ⅱ』同様に、温かく迎えてほしい」と述べた。
野々田埠頭では、20日に発生した三陸沖を震源とする大地震と、これに伴う津波警報の影響は見られなかったが、北海道・三陸沖後発地震注意情報の発表が続き、一部出店や歓迎の企画が見送られた。それでも、岸壁には10を超える地元事業所などの出店があり、乗船客は水産加工品や菓子、酒、雑貨などの前で足を止め、出店者と交流を深めた。
また、市内外での観光向けにタクシーや観光バスもずらりと並んだ。熊本県熊本市から訪れた乗船客の古舘伸尋さん(66)・竜子さん(64)夫妻は「今朝は波が穏やかで、リアス海岸の景色がきれいだった。三陸鉄道に乗るのが楽しみ」と話し、タクシーで盛駅に向かった。
「飛鳥Ⅲ」は全長230㍍で、全幅29・8㍍。就航初年の昨年は、オープニングクルーズとして8月3日に大船渡を寄港地とする日程が組まれ、東北の中でも初の入港を果たす計画だった。
しかし、台風9号接近の影響でクルーズ自体が中止に。大船渡港には姿を見せなかったが、市では同日付で、郵船クルーズによる飛鳥クルーズに対して特別観光大使を再委嘱し、寄港を通じた市の知名度向上やイメージアップに期待を込めた。
今回の大船渡入港は、横浜港を発着する「春の大船渡・青森クルーズ」の一環。20日に出発し、大船渡港、青森港を経て25日(土)に横浜港に戻る。乗船客は約350人。本年度は、9月29日(火)にも入港する。






