募集停止や時期に変更なし 高田・海洋システムと大船渡東・食物文化 県教委が高校再編計画策定 今後は個別に地元などと協議へ
令和8年4月24日付 1面
県教育委員会は20日付で、「第3期県立高等学校再編計画」を策定した。内容は2月に公表された最終案から一部文言を修正したのみで、高田・海洋システム科(定員40人)を令和10年度に、大船渡東・食物文化科(同)を12年度に募集停止とし、海洋システムと食物文化の調理師養成施設を宮古水産に集約する方針に変更はなかった。県教委は今後、計画で定めた再編プログラムに沿って、対象校や地元自治体などと協議を進めていくとしている。(三浦佳恵)
県教委は新たな再編計画の策定に当たり、昨年8月に当初案、11月に修正案、今年2月に最終案を公表。地域代表者らによる地域検討会議や住民向けの意見交換会、パブリック・コメントを通じて県民の声を聴取し、検討を重ねてきた。計画の策定は、今月20日の県教委定例会で決まった。
策定された第3期再編計画の期間は、8年度から17年度までの10年間。県立高校を巡る現状と課題、同計画の方針、計画の前期(8~12年度)を中心とした具体的な再編プログラム(気仙の内容は別表)をまとめた。
気仙では、入学者数の減少、水産科や調理師免許を持つ家庭科の教員確保が困難であることなどを理由に、10年度に高田・海洋システムを、12年度に大船渡東・食物文化を募集停止とする計画を記載。海洋システムと食物文化の調理師養成施設を宮古水産に集約し、同科の家庭の学びは大船渡東・農芸科学科で維持するとした。
当初案では、海洋システム、食物文化のいずれも募集停止を10年度としていた。しかし、集約先となる宮古水産・宮古商工の校舎一体整備時期が延びていることや、農芸科学で家庭の学びを維持するための教育課程を検討する時間が必要として、食物文化の募集停止時期を2年延長した。宮古水産にはほかに、久慈翔北・総合学科の食物系列・調理師養成施設を10年度に、海洋科学系列を12年度に集約することも示している。
海洋システムと食物文化は、地域産業に関わる専門学科として設けられ、地域と連携した学習機会を持ちながら気仙の産業振興、担い手育成といった役割を果たしている。こうした現状を踏まえ、気仙では当初案の公表以来、両科の存続を求める活動が行われてきた。
気仙3市町と釜石市、大槌町からなる沿岸南部地区の5市町は昨年10月と今年2月、県教委に両科の存続などを要望。大船渡、陸前高田の両市議会も当初案公表後、県教委などに存続を求める意見書を提出した。
大船渡市内の各種団体や市民有志らは、「大船渡東高校・食物文化科をみんなで護る会」(代表・米谷春夫大船渡商工会議所会頭)を結成。市内外から同科の存続を求める署名計1万5000筆余りを集め、昨年11月と今年1月、県知事と県教育長に届けた。
県教委が公表した、同計画案に対する県民からの意見聴取結果をみると、海洋システム、食物文化の募集停止に直接反対した意見は61件で、意見の総数659件の1割弱を占めた。ほかにも、東日本大震災の影響を踏まえて見直しを求める声、教員不足を理由とした集約に疑問を呈した意見も見受けられた。
官民を挙げて両科の存続を求めてきたものの、成案後の再編内容に変更はなかった。一方で、本年度の県立高校入学試験では、海洋システムに19人(前年度比8人増)、食物文化に37人(同13人増)と、いずれも前年より多い生徒が合格。宮古水産の合格者数である海洋生産科11人、食物科22人を上回った。
ただ、本年度の合格者数の状況をみると憂慮すべき点も多い。気仙の全日制4校8学科のうち、前年度から合格者が上回ったのは、募集停止対象の2学科のみ。ほかの学科は全て下回り、1学級定員40人の半数に満たない学科、人数が1~2学級分不足した学校もあった。
気仙3市町の教育委員会によると、今年3月に気仙の中学校6校を卒業した生徒数は351人。この全員が気仙の全日制に入学しても、現在の実質定員520人に対して169人、4学級分余り不足している。
実際の合格者数は、全日制が319人、定時制が4人の計323人。いわて留学(県外募集)や学区外からの志願者もいるものの、9割程度が地元の高校に進学し、残る1割は地域外の高校などに進んだとみられる。
計画では、「入学志願者の数が1学級定員(40人)以上不足する場合、学級減について検討」「1学級校は入学志願者の数が2年連続して20人以下となった場合、原則として翌年度から募集停止」といった規則・基準を設定している。気仙では募集停止対象の学科のみならず、ほかの学校、学科も今後の志願者数の推移を注視していく必要がある。
県教委では今後、個別に再編プログラムの対象校、地元の市町村や教委と協議を進めていく考え。対象外の学校は、規則・基準と志願者数の状況をみて適宜対応していくとする。
県教委高校改革課の田山健太郎課長は「今後、個別の統合を行うに当たっては、関係校や地元の市町村、教委に丁寧に説明しながら進めていきたい」と話している。






