社会課題解決の「加算」拡充 建設工事入札基準 9、10年度分から見直し 完工高の減少踏まえ審査評価幅広く
令和8年4月25日付 1面
大船渡市が主催する市営建設工事入札参加資格審査基準等の見直しに伴う事業者説明会が24日、盛町のシーパル大船渡で開かれた。市は令和9、10年度の審査基準から、工事成績評定の対象期間を拡大するほか、子育てや消防団活動など社会課題解決に向けた取り組みも加点する方針。地元事業所の多くが完工高の減少等で受注確保などの厳しさが増している中、より柔軟な審査で建設業の維持・発展を支える狙いがある。(佐藤 壮)
建設関係など約50事業者が出席。市総務部契約検査室の阿部貴俊次長が「社会情勢の変化を踏まえて見直した。来年2月からの申請に向けて準備をしてほしい」とあいさつした。
市によると、今回の入札参加資格審査基準の見直しは、社会情勢の変化を踏まえ、施工の質の向上や適正な施工確保を図るとともに、社会変化に対応した建設業の健全な発展を後押しするもの。資格審査に関する透明性向上も見据える。
資格審査基準は、完工高をはじめ経営事項審査の総合評定値による「客観的事項」、加点や減点を行う「主観的事項」の合計で算出されるが、今回は主観的事項を見直す。
現在の格付けでは、土木一式工事において発注標準額4000万円以上がA級、2000万円以上4000万円未満がB級、800万円以上2000万円未満がC級、800万円未満がD級となっている。各等級における評価点数基準は変えないが、施工実績および工事成績に応じた「加点」を多く盛り込むことで、直近の完工実績以外の分野での割合が高くなる。
審査のうち、主観的事項はこれまで、申請書で提出した年度とその前年度における評定値の合計で行っていた。見直しでは「工事成績の対象については、申請書の提出のあった年度から過去5年間とする」といった表記を要領に追加し、改正前の2年間から期間を拡大。工事成績評定の過去5年平均で75~100点の場合は、得点に応じた加点が行われる。
受託事業者が減少傾向にあるという市道の除排雪業務や融雪剤散布業務の受託事業者にも加点し、社会課題へ対応する企業活動も重視。「いわて子育てにやさしい企業等認証」を取得している場合や、同認証の「ステップ2」を得た際の加点数を増やした。事業所として週休2日制による「4週8休」の実施や子育てサポート企業の認定取得、市消防団協力事業所の認定取得でも新たに加点する。
建設業界を巡っては、東日本大震災の復旧・復興事業の収束により、受注減に伴う厳しい経営状況が指摘されている。市がコロナ禍以降に実施している商議所会員アンケート調査でも「前年同期よりも売り上げが減少している」と回答する建設事業者が多く、減少幅の大きさも目立つ。一方、自然災害が頻発する中、緊急的な対応などに当たる建設業の存在は欠かせない。
資格審査基準を巡っては、昨年の市議会一般質問でも取り上げられた。議員からは「公共事業の先細り傾向が顕著。完工高の基準がそのままであれば、体制を保てなくなる。緊急時の対応にも影響が出る」といった指摘が出ていた。
これまで、格付け結果が示される一方で、具体的な点数を業者側が把握できないといった問題点を挙げる声も。今回の見直しで市側は▽評価点数の事前確認制度導入▽審査結果通知書への点数明記▽審査基準を分かりやすく一覧表にして、市ホームページに掲載する▽入札参加申請前における審査基準説明会の開催──を挙げる。
9、10年度の入札参加資格申請は、来年2月中旬から約1カ月間受け付ける。内容のデータ処理や市内部での資格審査を経て、5月下旬に格付け結果とともに総合数値や客観的事項、主観的事項の各数値を明記した結果を通知する。





