市内全てに地区運営組織 公民館から移行 持続可能なコミュニティー運営へ

▲ 猪川地区づくり計画や地区運営組織「猪川みらい協議会」の設立を決めた公民館運営委員会

 大船渡市内の全11地区で、持続可能なコミュニティー運営や地域活性化を見据えた地区運営組織が発足した。人口減少や地域活動に携わる担い手不足などの課題を抱える中、長期間にわたる住民ワークショップで得たヒントや、新たな住民とのつながりをもとに、それぞれ独自の活動を展開。市は今後、地区公民館施設を住民が地区づくりを行う拠点施設「(仮称)地区センター」に移行するなどして実践活動を支援する方針を掲げており、さらなる活動の広がりが注目される。(佐藤 壮)

 

 猪川地区公民館(田村敏夫館長)は25日、同館で運営委員会を開催し、地区運営組織である「猪川みらい協議会」の設立に伴う事業計画や地区づくり計画、予算、規約などを決めた。これで、市内11地区全てで地区運営組織が発足した。
 田村館長は「猪川地区公民館として最後の運営委員会であり、協議会として最初の総会となる。これまで、さまざまなワークショップや会議を開き、課題も出てきたが、若手住民を核とした各部会が中心となって乗り越えていくのではないかと期待している」とあいさつ。同協議会の初代会長には、田村館長が就いた。
 同館ではこれまで、住民ワークショップやまちづくり検討委員会に関する協議をそれぞれ10回以上開催。各種課題解決に住民全体で取り組むための地区づくり計画も取りまとめた。
 地区運営組織では、学習機会や健康増進分野など地区公民館が実施してきた基本事業を継承。組織内には「交流促進」「文化歴史」「支え合い」「スポレク」「SNS」の各部会を置き、さらに「安心安全部会」も立ち上げることにしている。
 市内には、盛、大船渡、末崎、赤崎、蛸ノ浦、猪川、立根、日頃市、綾里、越喜来、吉浜の11地区に市立公民館があり、この単位で地区コミュニティーの活動を展開してきた。
 近年、住民生活の多様化や学校統合、東日本大震災の影響による急激な人口移動もあり、地区コミュニティーのあり方が変化。人口減少や少子高齢化が進み、行事や事業の継続など対応が難しい状況が目立ち、複雑化する住民ニーズへの行政側の対応も年々厳しさを増している。
 市は令和2年度に「誰もが住み慣れた地区で安心して生活し続けるために~住民自治の推進と協働による新たな地区コミュニティの創造指針」を策定。持続可能な地域づくりに向けた取り組み例として、導入段階から第1~4段階ごとの流れや、これまでの地区公民館運営との相違点などを示しながら、協議を後押ししてきた。
 3年度に、日頃市地区で地区公民館と助け合い協議会が一体化し、ひころいち町まちづくり推進委員会が発足。その後、各地で地区運営組織の設立が進んだ。
 各地区では組織の立ち上げに向け、コロナ禍で住民同士で対面する機会が限られるといった困難を抱えながらも、幅広い世代が集まる住民ワークショップを開催。その場で出たアイデアをもとにしたイベント開催に加え、組織に参画する住民の掘り起こしにもつながった。
 市は今年3月、令和8~12年度の5年間を期間とする行政改革実施計画を策定。この中では、地区づくり計画に基づいて各組織が行う実践活動に対しての補助金交付を盛り込んでいる。各組織には年間50万円を交付し、主体的な活動を後押しする。
 さらに、計画では「地区公民館(組織)から地区運営組織への移行に合わせ、地区公民館(施設)を、地区住民が地区づくりを行う拠点施設『(仮称)地区センター』へと移行し、地区の実践活動を支援する」としており、今後具体的な調整が進められる。
 市協働まちづくり部市民協働課の菊地正展課長は「地区ごとに、住民のさまざまな思いが反映されて新たな組織が立ち上がった。団体それぞれに合った支援をしていきたい」と話している。